『セッションレポート:決勝』マクラーレン、ドライバーズタイトル獲得に大きく前進!
サーキットは朝から雨が降り続き、路面には水が溜まっている。気温17℃、路面温度22℃のウェットコンディション。
スターティンググリッドには変更があった。前日のフリー走行前にエンジン交換を行なったウィリアムズのニコ ロズベルグが、10グリッド降格のペナルティで16番グリッドへ。また、トロ ロッソのビタントニオ リウッツィはピットスタートを選んでいる。
雨のため、決勝はセーフティカーの先導でスタートすることとなった。全マシンがエクストリームウェザータイヤの装着を義務づけられていたが、フェラーリは事前にこのルールを承知しておらず、通常のウェットタイヤを履いていた。このためセーフティカー誘導中の2周目と3周目に、フェリペ マッサ、キミ ライコネンがそれぞれピットに戻り、エクストリームウェットタイヤへの交換、給油を行なうも、20番手、21番手と大幅に順位を落としてしまう。また、レース序盤、スピンした後にBMWザウバーのニック ハイドフェルドをかわしたとして、F.マッサはピットレーンのドライブスルーペナルティーを受ける。
レースは20周目に再開。しかしすぐにウィリアムズのアレクサンダー ブルツがスピンを喫し、F.マッサと接触したため、イエローフラッグが振られる。上位3台は、マクラーレンのルイス ハミルトン、フェルナンド アロンソ、トロ ロッソのセバスチャン ベッテルに。23周目、スーパーアグリの佐藤琢磨がピットストップを行なうと、給油口から炎が吹き上がる。幸い火は消え、佐藤はコースへ復帰。順位を落としていたK.ライコネンは、後方から10番手まで追い上げる。28周目以降にL.ハミルトン、F.アロンソがピットへ向かい、トロ ロッソのS.ベッテルが自身初のラップリーダーとなる。
マクラーレンが第2スティントに入ると、3番手でコースに戻ったL.ハミルトンとBMWザウバーのロバート クビサが接触。両者に大きなダメージはなかったが、今度はF.アロンソとS.ベッテルにも接触があり、この隙にS.ベッテル、K.ライコネンがF.アロンソの前に出る。F.アロンソはマシンを破損するも、走行を続けていく。それまでピットストップを行なっていなかったマシンがピットに向かうと、L.ハミルトンがトップに復帰。K.ライコネンは再度のピットストップを行なったため、またしても順位を落としポイント圏外へ。
しかし42周目、F.アロンソがヘアピン手前で単独でウォールにクラッシュ。破片が飛び散り、再度のセーフティカー導入となる。F.アロンソは17戦ぶりのリタイア、ノーポイントに終わり、タイトル争いに遅れをとることとなった。ピットロードがオープンとなり、各マシンがピットストップを済ませていく。上位はL.ハミルトン、レッドブルのマーク ウェバー、S.ベッテルに。ところが残り21周目、M.ウェバーと初の表彰台圏内につけていたS.ベッテルが接触し、両者リタイアした。
48周目にレースが再開され、トップのL.ハミルトンは一気に後続を引き離していく。2番手ルノーのヘイキ・コバライネン、3番手F.マッサ、4番手レッドブルのデビッド クルサード。K.ライコネンはBMWザウバーのN.ハイドフェルドらをかわし、5番手まで浮上。さらにD.クルサードをもオーバーテイクし、4番手でチームメイトの背後につく。ここでF.マッサが最後のピットイン。K.ライコネンは3番手となり、前方のH.コバライネンに迫っていく。また、F.マッサも残り少ない周回で追い上げを見せる。
L.ハミルトンは十分なギャップを築き、大波乱のレースでポール トゥ ウィン。ハンガリーGP以来4戦ぶりの勝利で、1996年のジャック ビルヌーブ(ウィリアムズ)に並ぶ新人最多のシーズン4勝目を挙げ、ドライバーズタイトル獲得に大きな一歩を踏み出した。マクラーレンは、イタリアGP以来2戦ぶり今季8勝目。
初の表彰台がかかるH.コバライネンは、K.ライコネンの猛追を抑え2位。ルノーにとっても今季初の表彰台をもたらした。K.ライコネンはわずかに届かず、3位でチェッカーを受けた。また、ファイナルラップでF.マッサとR.クビサが激しい6番手争いを演じ、チェッカー直前にF.マッサがR.クビサをオーバーテイクしている。
入賞圏内は、4位レッドブルのD.クルサード、5位ルノーのジャンカルロ フィジケラ、6位フェラーリのF.マッサ、7位BMWザウバーのR.クビサ、8位トロ ロッソのビタントニオ リウッツィ。V.リウッツィは自身とチームに今季初のポイントをもたらした。
F.アロンソがリタイアに終わったため、ドライバーズランキングでL.ハミルトンと2位のF.アロンソの差は12ポイントとなり、次戦中国GPにもL.ハミルトンが初タイトルを決める可能性が出てきた。ランキング3位のK.ライコネンもL.ハミルトンから17ポイント差と、わずかながらタイトル獲得の可能性を残している。
母国グランプリに臨んだ日本勢だが、ホンダのルーベンス バリチェロの10位が最高位で、以降はジェンソン バトン11位、スパイカーの山本左近が自己最高の12位、トヨタのヤルノ トゥルーリ13位、スーパーアグリの佐藤が15位でそれぞれ完走し、トヨタのラルフ シューマッハ、スーパーアグリのアンソニー デビッドソンはリタイアに終わっている。
【写真提供】日本GP決勝は雨で大波乱のレースとなった。F.アロンソがリタイアした一方で、L.ハミルトン(中央)が優勝し、タイトルに大きく近づいている。2位は初表彰台のH.コバライネン(左)、一時後方に沈んだK.ライコネン(右)が3位まで追い上げた(C)Bridgestone Corporation