(cache) DODAの業界レポート

結論からいうと、「これだ」と思い込むしかないんですよ。恋愛でもそうだけど、皆さん、「好き」という気持ちは自然に沸いてくるのが本物で、無理やり好きになるのは不純だと思ってるフシがあります。

でも、人の気持ちなんて、あやふやで頼りないものですよ。大恋愛の末に結ばれた夫婦が、些細な理由で別れることもあれば、逆に、気乗りしないお見合いで結婚した夫婦が、一生ラブラブで添い遂げていたりする。それは、相手のことを好きになろうと努力したからですよね。その結果、心から好きになれた。

仕事だって同じです。好きにさせてくれるのを待ってるだけでは、「これだ！」と思える仕事とはそう簡単に出合えないし、仮に出合えたとしても、いつまでも思い続けられる保障はない。それよりも、今の仕事のいい部分、自分にフィットする部分を探すほうが、早いし確実だと思いますよ。そうやって自分の意志で努力して好きになった仕事なら、多少のことでは気持ちが揺らがなくもなるはずです。

社内の出世とか、上司の評価とかに、仕事のモチベーションを求めないほうがいいと思うんですよね。そもそも上司って変わるじゃないですか？それまで認めてくれていた上司が突然異動になってしまうかもしれないし、転職してしまうかもしれない。あるいは、「出世街道だ！」と思っていた事業から、会社がいきなり撤退を決めてしまうかもしれない。いずれにしても、社内の評価基準なんて変わって当然くらいに考えておいた方がいいですよ。

それよりも、仕事に対する自分だけの絶対的な価値基準を見つけるべき。僕の場合は、読者の評価がそれでした。上司や会社からどんな理不尽なことを言われても、雑誌が売れている限りは「俺は間違ってない」と思っていました。

あと、ミスに関していうと、人生が台無しになるようなミスでなければ、出世のチャンスをひとつ逃しただけで済んだ、くらいに考えておけばいい。へこんでる暇があったら、原因を分析して仕事のスキルを上げるとか、自分なりの価値観を築き上げることに時間と労力を費やすべきだと思います。

満ち足りた時代ならではの、贅沢な悩みですね。僕にとって仕事をする第一の目的は、食いぶちを稼ぐことでした。だから不安といえば、会社が潰れることか、自分がクビになることしかなかった。その上で、どうせ働くなら楽しいほうがいいから、与えられた仕事を好きになろう、そこに生き甲斐を見出そうと努力したわけですよ。

ところが今の若い人たちは、「好きなことを仕事にすべき」とか、「仕事に目標や生き甲斐を見出すべき」みたいな理想論が先に来て、それが強迫観念みたいになっている。

別に好きじゃなくても目標がなくても仕事はできるし、現にこの質問者は目標を持っていなくても働けているわけだから、何の問題もないじゃないですか。「好きな仕事じゃない」というなら好きになろうと努力すべきだし、それでも好きになれなかったら仕事以外の趣味やボランティアに目標や生き甲斐を見出せばいいだけの話ですよ。

僕も人間関係は不得意でしたよ。雑誌を編集する作業がどんなに辛く困難でもくじけたことはなかったけど、人間関係では挫折しっぱなし（笑）。

悩んだ末に僕が出した結論は、「人付き合いの得意な人に任せるしかない」ってこと。「その原稿チェックは俺がやっておくから、代わりに○○さんと交渉してきてくれない？」とか交換条件を出して、得意な人に頼み込む。できるように努力することは大事。だけど、人間には、どんなに努力しても克服できないこともあるんですよ。そういう絶対的に苦手なことは、無理してやらないほうがいい。料理が苦手なのに無理してお弁当作ったりすると、自分も大変だし、不味いものを食べさせられる相手もつらい。

恋愛でも仕事でも、自分が得意な分野で勝負するのが、長続きの秘訣なんです。大切なのは、全部を求めないこと。人間関係が苦手でも、他に得意な部分があれば周りはちゃんと認めてくれますよ。

だったら気合いで興味を持とうよ。みんな「好き」とか「興味」に対して他力本願すぎますよ。よく「仕事だから割り切ってやれ」っていわれるけど、それじゃダメだと思うんです。好きにならなきゃいけないの。

僕は出版社で雑誌の編集をしていましたが、マスメディアとは、自分がいいと思うものをより多くの人に伝える仕事。すべてのテーマを本気で好きにならないと、読者によさを伝えられません。つまり、好きになることも仕事だったわけです。他の仕事でも、同じではないでしょうか。好きでやってるヤツには絶対勝てない。だから無理やりにでも好きにならなきゃ。そういう意気込みで向き合っていけば、いつしか本当に好きになれちゃうものですよ。

最後に、世の中、やりたいことを一つ実現するためには、やりたくないことを九つ我慢しなければいけないということを、覚えておいてほしいと思います。嫌なことがあるたびに逃げていたら、永遠に好きなことには出合えませんよ。