ドクターヘリ優位性強調/八戸市長が会見(2007/10/13)
会見で人口カバー率や初期投資費用の問題を挙げ、市民病院の優位性を強調する小林眞市長
 青森県が早ければ来年度後半からの配備を目指しているドクターヘリについて、八戸市立市民病院を配備先に要望している小林眞市長は十二日、記者会見を開き、「救急医療体制が充実し、ヘリポートが隣接する市民病院が今すぐ対応できる唯一の病院だ」と、もう一方の候補地である県立中央病院に比べた優位性をあらためて強調した。また「できるだけ早い時期に県に働き掛けたい。三村申吾知事に会えれば会いたい」として、近く県に直接説明する意向も示した。市が個別事案の考え方を主張するために会見するのは極めて異例。
 会見で市側は十七ページに及ぶ資料を用意した。
 協議会場で県が提示した病院別の人口カバー率に関し「人口密集地では救急車による搬送が主なので、対象から外すべきだ」などと反論。五十キロ圏内の県病のカバー範囲が約二十三万人、市民病院が青森県側で約二十万人、岩手県北側で約十二万人との新たな試算を示した。
 病院別医師数では「現場に出動した救急医が最適な搬送先病院を決定するため、搭乗する救急医などを確保できるかが判断基準だ」とした。
 また、冬季の運行に関し「札幌市では雪による視界不良のため、10%以上の割合で要請を受けても出動できない状況だ」として、積雪量の少ない県南地域に配備するメリットを強調した。
 県病との初期投資費用の比較では、他道県でドクターヘリを導入した民間病院の例を参考に想定。「県病では積雪対応の施設が必要となる」として、市民病院では数千万円、県病では数億円単位に上ると算出した。
 隣県使用に対する考え方では、「『県のために使用しなければならない』というのは、県域を超えた連携・協力体制整備を目指す関係法の趣旨に反し、県境に接した市町村の実態を無視している」と主張した。
 このほか、「県病はがん診療、弘大医学部付属病院は高度救命救急センター、市民病院は地域医療支援病院として機能分担すべきだ」との考えを新たに提起した。
 ドクターヘリの配備先については、三日の県救急・災害対策協議会で、市民病院と県病を対象に議論を展開した。最終的な絞り込みこそなかったものの、事実上、県の担当者が県病を支持している。
【写真説明】
会見で人口カバー率や初期投資費用の問題を挙げ、市民病院の優位性を強調する小林眞市長

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