ファンの声援に応える麻生氏。遠くのほうでは安倍首相のポスターが見守っている
23日午後3時過ぎ、衆参の議員と都道府県連の代表らが集まった議員総会の自民党8階ホールで、福田康夫氏の新総裁就任が決定した。
下馬評通りの就任に、まわりの記者は「しょっぱいな」とつぶやいた。しかし、その日もっとも永田町を沸かしたのは、父子2代で総裁となった福田氏ではなく、皮肉にも対立候補となった麻生太郎氏だった。
自民党前の道路では開票前から「麻生、麻生」と大合唱する人だかりができていた。どうやらインターネット上での呼びかけで集まった人々らしく、漫画好きで知られる麻生氏が秋葉原で街頭演説をしたときと似たような横断幕もあった。
福田新総裁、誕生の瞬間
新総裁決定後、一部週刊誌で不仲説が報じられた森喜朗・元首相が自民党本部から外に出ると、群衆から一斉にブーイング。自民党の関係者らは「対策をとらなきゃいけないね」と話す。
そしてその直後、麻生氏が自民党本部から出てくると、群衆に向かって手を振り、道路を横断して駆け寄ろうとしはじめた。取り囲んだ報道陣も一緒に移動したため、周囲は一時大混乱におちいった。
そのときの様子が録音されたデータを聞いてみると、まず麻生コールが次第に早くなっていく。突然歓声があがり、警備にあたっていた警察官の警笛の音が繰り返される。「さがりましょう、さがってください、おさえておさえて」と警察官とおぼしき声。一時的に道路封鎖までされた。
でもやっぱり総裁になりたかった……
新総裁の記者会見を待っていた報道陣のあいだでは、「警察があせっていた」としばらく話題になった。
およそ130票差で福田氏に敗れた麻生氏だが、総裁への道がなくなったわけではないとの見方は残っている。このパフォーマンスは、今後をにらんでのことなのだろうか。「福田とは役者がちがうぜ」といいたいの?
(黒井孝明)
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