サイエンス

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録 Yahoo!ブックマークに登録
この記事を印刷
印刷

心臓移植患者:8割は社会復帰も過半数が「将来に不安」

 臓器移植法施行からこれまでの10年間に国内で心臓移植を受けた患者のうち、約8割は社会復帰を果たしていることが、全心臓移植患者を対象にした毎日新聞の調査で分かった。一方で、過半数の患者は「いつまで生きていられるか」など、将来に対する不安を持ちながら暮らしている実情も浮かんだ。

 調査は今年8~9月、国立循環器病センターや大阪大など全国の移植実施施設の主治医を通じて実施。心臓移植を受けた48人(2人は死亡)のうち、35人(73%)から回答を得た。

 その結果、社会復帰できた人は27人(77%)で、常勤で復職10人▽パートで復職6人▽主婦5人▽学校へ復学2人--などだった。移植から社会復帰までにかかった期間は、3カ月~4年7カ月だった。

 現在の状況を尋ねたところ、「移植前の予想通りの生活が送れている」という人が26人に達し、1人は「想像以上に体力が回復した」と回答。50代の女性は「移植前、走ることも重いものを持つこともできなかったが、今は孫を追いかけて走ったり、抱き上げられる。こんな自分自身に驚いている」と回答した。「予想したほどではない」は7人にとどまった。

 一方、「将来に不安がある」と答えた人が19人(54%)に上り、「ない」は16人(46%)だった。不安の内容は「拒絶反応がたびたびある」「移植した心臓がいつまで持つのか」「感染症が怖い」などだった。【臓器移植取材班】

毎日新聞 2007年10月14日 3時00分

サイエンス アーカイブ一覧

ニュースセレクトトップ

エンターテインメントトップ

ライフスタイルトップ

 

おすすめ情報