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論説
農作業事故対策/ドクターヘリ導入急げ
掲載日:2007-10-13 12:43:00

 ドクターヘリが農作業事故で危なかった農家の命を救った。ヘリを持つJA長野厚生連佐久総合病院救命救急センターが、昨日の日本農村医学会で明かした。ただ、同県では年平均で11件の農作業死亡事故が起きている。ヘリが出動すれば救えた命がほかにもあったのではないか、との思いが募る。まずは事故を起こさないことだが、いざという時はヘリの活用も重要だ。ドクターヘリの全国整備も急がなければならない。

 農山村は、救急医療体制が弱い上に高度な治療ができる医療機関から遠く、いわば“医療過疎”のところが多い。一方、農作業事故の中でも農機事故は重傷になりやすく、一刻も早い手当てが必要だ。だから医師や医療スタッフが直接現場に飛ぶドクターヘリへの期待は高い。

 同センターは、2005年に同県全域を守備範囲としてヘリの運行を始めた。名付けて「信州ドクターヘリ」。07年3月末までの21か月間に503件出動した。救急現場への出動のほか医療施設間の搬送もある。

 このうち農作業中の事故や急病で出動したのは37件(7%)だった。そのほとんどが事故現場など救急現場への出動だった。傷病者は、3歳から90歳までで平均65歳だった。出動は、やはり農繁期の5〜10月に集中している。トラクターや刈り払い機など農機による事故が半分を占め、残りは伐採中に木の下敷きになった事故などだった。現場で死亡が確認されたため搬送しなかったのが2件、残りのうち同センターの佐久総合病院に搬送したのが27件だった。うち3件が死亡、あとは歩いて退院した。

 緊急手術ができたことなどドクターヘリ出動が明確に有効だったのが16件、約6割あった。うちの1件は「救命効果があった」。ヘリ出動でいち早い手当てができたからこそ命を救うことができた事故だった。明確に「ヘリの有効性が示された」事故だった。

 ただ、同県内の農作業事故はJA共済連長野の情報だけでも03年度で1520件もあった。死亡事故は、県の調査で年平均11件発生している。農作業事故の多くは昼間だけに、ヘリが飛ぶ条件としては良い。もっと農作業事故での出動があってもいいはずだ。同センターもそうした考えで、「防ぎ得る死」を減らしたいという。だから、救急機関との連携を密にしていく考えだ。

 農作業死亡事故は、全国で毎年400件前後起きている。事故を起こさない努力が第一だが、万が一の場合の救急体制の充実も欠かせない。ドクターヘリは、06年度までに10県で11機導入された。今年度は3府県で3機導入される。30機程度あれば全国をカバーできるといわれる。早急にその体制を整え、地域の救急機関との連携を密にし、ヘリの機能をいかんなく発揮できる体制を整備すべきだ。

田園立国
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