行楽の秋まっただ中。食べ物のおいしいこの時期、大阪で岡山の味覚が健闘しています。
九月下旬、大阪市で岡山県大阪事務所が開いた恒例の「ぶどう祭り」。マスカットに偏っていた人気が、今年はピオーネに集まり、開催の二日間とも昼にはほぼ売り切れる大盛況となりました。昨年のイベントで行った試食の好評価が口コミで広がった形です。
大阪市内のある居酒屋では今月、「備中フェア」と銘打ったイベントが始まりました。仕掛け人は、五年前から関西で国指定重要無形民俗文化財・備中神楽の普及に力を入れる高梁市出身の岡本金丸さん(59)=大阪府箕面市。古里を応援するライフワークの一環だそうです。店内には純米酒から焼酎まで備中地域の銘柄がずらり。ママカリの酢漬け、桃太郎地鶏の刺し身といった“ご当地メニュー”も登場し、口コミで足を運ぶ県出身者だけでなく、地元の常連さんにも好評を博しています。
雑誌やテレビもさることながら、友人・知人間の口コミやうわさの効果は大きいものがあります。先日、ある会合で、関西の有名な温泉地に宿泊した知人が「値段は高い、対応は悪い。二度と行く気がしない」と愚痴をこぼしていました。私も含め話に聞き入った人間は、どうしても良くないイメージを抱きます。
美作三湯、倉敷市の美観地区…など、岡山の主要観光地は関西圏からの観光客の割合が高く、欠かせない存在です。それだけに私も“古里人”の一人として、出掛ける先々で、善きにつけあしきにつけ、岡山のうわさが気になってしまいます。 (大阪支社・大本哲弥)