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救急医の卵おいで 学会会場で異例のリクルート大作戦

2007年10月13日

 医学生さん、救急医療の現場にいらっしゃい――。日本救急医学会は、16日から大阪市内で開く総会で、異例の「求人大作戦」を展開する。会場に特設ブースをつくり、全国91もの救急医療施設が、勤務条件や設備、仕事の楽しさなどを競い合ってアピールする。

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 リクルートの対象は、大学医学部卒業前後の若者から救急医療以外の分野で5、6年経験を積んだ医師だ。救急医療は、昼夜を問わない過酷な仕事という印象が強く、医学生が敬遠しがち。志望者の人気は、都市部にある有名大学の救命センターなどに集中している。地方では慢性的な医師不足に陥り、仕事がきつくなるという悪循環が起きている。

 総会事務局は16〜18日の3日間、会場となるホテルの1フロア13室を借り切ってリクルートのためのブースを提供する。

 1施設の持ち時間は2時間で、若手医師が待機し、「休日は何日取れるか」「職場の雰囲気はどうか」などの質問に答える。同時に、ドクターヘリのような装備を強調したり、海外救援などの様子をビデオやパネルで紹介したりして、仕事の魅力をPRする。

 企画した大阪大学病院高度救命救急センターの嶋津岳士・准教授は「救急医療は地域医療の最前線です。若い医師の卵たちに、現場で働いている私たちのありのままをもっと知ってもらいたい」と話す。

 会場は大阪市北区のリーガロイヤルホテル大阪。医学生は、学生証を提示すれば無料で総会、リクルートブース双方に参加できる。医師は参加費1万5千円、その他は5千円が必要。

     ◇

 参加医療機関の「口説き文句」をいくつか紹介すると……。

 ■転送先が見つからず、妊婦が死亡・死産する事件が起き、救急医療体制の立て直しが急務になっている奈良県の県立医大病院高度救命救急センターは「医師が少ないからこそ、若手が活躍する機会が多く、思いっきり腕を磨ける」と訴える。

 ■福岡市の福岡和白病院は、来年4月に導入予定の病院ヘリを売り込みの目玉にする。「厚労省のドクターヘリより制約が少ない。空飛ぶ医師を目指すなら、うちが一番」

 ■想定東海地震の震源地に近く、一人でも多く人材が欲しい浜松医科大学は、週32時間の日勤と当直の交代後は呼び出しはしない。「残り時間は他科の研修もよし、博士号に向けた研究もよし。勉強が存分にできます。助教のポストも用意している」と全面歓迎の姿勢だ。

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