ニュース260万人の朝の足を直撃 プログラムに潜んだ“魔物”8都県260万人に影響した自動改札機の不具合。製造元によると「送信データがある長さ、ある件数」の時に発生する「レアケース」なプログラム不具合が原因だった。2007年10月12日 20時46分 更新
トラブルを説明する日本信号の柏倉光行常務=13日夕、東京・丸の内の同社
週末の朝、260万人の足を直撃したのはプログラムに潜む“魔物”だった──10月12日朝、JR東日本や東京メトロなどの8都県662駅で自動改札機が起動しなかった原因は、「レアケース」という改札機の不具合だった。 同日早朝、SuicaとPASMOに対応した16事業者662駅で、日本信号が製造した自動改札機4378台(PASMO 470駅3050台、Suica192駅1328台)が起動しない不具合が発生。通常は駅構内のサーバから集中的に起動する仕組みだが、これが不可能に。各駅はサーバから改札機を切り離し、単体起動に切り替えるなどして対応。午前11時までに全面復旧したが、PASMOで約160万人、Suicaで約100万人の客に影響が出た。 日本信号によると、現時点で判明しているのはこうだ。原因は自動改札機のICカード判定部の不具合。判定部には毎朝、サーバから起動用データの1つとして、「ネガデータ」(ネガティブデータ)と呼ぶ、旧式カードや不正カードなど、改札を通過できないカードを認識するためのデータを送信している。この朝もネガデータを送信したところ、判定部がネガデータをメモリに読み込む際に不具合が発生。処理がそこでストップし、起動しなかったという。 調べたところ、ネガデータに「ある長さ、ある件数」といった条件が重なった時、データが読み込めなくなるプログラム不具合が判定部側にあることが判明。このため、判定部はエラーを返しながらネガデータ読み込みのリトライをひたすら繰り返す状態に陥り、起動処理が止まった。 ネガデータはPASMOとSuicaの相互接続が始まった3月18日以降に追加されたデータだという。ネガデータに対応するため、相互接続時にプログラムも変更していたが、そのプログラムに不具合があった。更新までに1年ほどあったというテスト期間では“魔物”は見つからず、運用開始から半年以上経ったこの日の朝、本番環境で判明するという最悪の事態になった。 同社の柏倉光行常務は13日夕方会見して経緯を説明し、「社会的なインフラを受け持つメーカーとして重く受け止めている。申し訳ございません」と謝罪した。 ネガデータにダミーを挟むなどして条件を変えれば問題なく読み込めることは分かっているため、当面、始発前にネガデータをシミュレーション環境でテストした上で各改札機に流すようにする。このため、13日から通常通りの起動が可能になるとしている。プログラム改修は13日中にも行う。 関連記事
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