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2007年10月13日

◎ゴルフ場の破たん また債務免除で生き残るのか

 またゴルフ場の破たんである。金沢市の「ゴルフ倶楽部金沢リンクス」を運営する大浜 リゾート開発が預託金償還のめどが立たないとの理由で金沢地裁に民事再生法の適用を申請した。

 石川、富山両県では、二〇〇四年に金沢セントラルカントリー倶楽部(金沢市)、小松 カントリークラブ(小松市)、山代ゴルフ倶楽部(加賀市)、トナミロイヤルゴルフ倶楽部(南砺市)、翌〇五年は加賀セントラルゴルフ倶楽部(加賀市)、〇六年には石川ゴルフ倶楽部(津幡町)と、過去三年間で六つのゴルフ場が相次いで民事再生法の申請を行っている。

 リンクスもこれらのゴルフ場と同様、預託金という「借金」の大部分を投げ出し、身軽 になって営業を継続する方針という。本来なら淘汰されてしかるべきゴルフ場が、いわば民事再生という現代の「徳政令」で生き残り、自助努力で健全経営を続ける他のゴルフ場の経営を脅かすのである。こんなやり方は、自由主義経済の根幹である市場原理に反している。経営陣のモラルハザード(倫理の欠如)をもたらし、業界全体の構造改革を妨げる「天下の悪法」と言わざるを得ない。

 特にリンクスの場合、県内有力企業の役員がずらり経営陣に顔をそろえ、今年二月に経 営トップが交代したばかりである。預託金を除く長期債務は実質ゼロに等しく、直近の決算では最終黒字を計上している。そんなゴルフ場があっさり自助努力をあきらめて、預託金の事実上の棒引きを迫られる会員だけに損を押しつけるような手法を選択するのは、いかがなものか。

 こうしたゴルフ場の破たんの際には、プレー権の確保が債務カットの大義名分となるが 、プレー権は当たり前のことで、金融債務解消のために、ゴルフ用地の一部を売却し、財産を減らした経営側としての責任をどう考えるかという視点が抜け落ちている。

 そもそも、リンクスはバブル最盛期の一九八八年に、県有地の工業団地を買い取ってゴ ルフ場経営に乗り出し、経営が悪化した二〇〇二年には、ゴルフ場隣接地をバブル期と同水準の約四億円で県土地・住宅公社に売却したことがある。

 県民の資産や税金がゴルフ場経営の浮沈と深くかかわってきた過去があるだけに、県民 の目は、他のゴルフ場とは比べものにならぬほど、厳しいと見るべきだ。経営陣は、モラルハザードを引き起こしてまで、ゴルフ場経営を続けていく社会的、経済的な意義を説明する義務があるのではないか。

◎テロ対策支援論争 やめたい「違憲批判ごっこ」

 政府・与党と民主党が、互いに主張するテロ対策支援活動を「憲法違反」と批判し合っ ている。国際的な「テロとの戦い」を支援する自衛隊活動に関して憲法論議は避けられないとしても、本質から外れた「憲法論争ごっこ」ともいえるような神学論争に逆戻りした揚げ句、日本の国際貢献活動について何も決められず、文字通り不毛の論争に終わるといった事態にはしないでもらいたい。

 政府・与党が継続をめざすインド洋での給油活動について、小沢一郎民主党代表は、ア フガニスタン戦争は米国が「自衛権の行使」として始めたもので、海自の支援は集団的自衛権の行使を認めない限り、憲法に反するという。これに対して、政府は「米同時テロを国際平和に対する脅威と認定した国連決議を踏まえた活動」と反論し、「非戦闘地域」での活動なので、憲法で禁じられているとされる「他国の武力行使との一体化」にならないという。

 一方、小沢氏が提唱する国際治安支援部隊への参加に対して、政府はアフガン本土での 活動は「武力行使につながり憲法違反」と反対している。国連決議に基づく平和活動は武力行使を伴っても憲法に抵触しないという小沢氏の主張は、国家より国連を上位に置く考え方で疑問が残るし、「非戦闘地域だから武力行使と一体化しない」という政府の主張も一種のごまかしがある。事態が刻々変わる中で「戦闘地域」と「非戦闘地域」の線引きは困難であり、武力行使との一体化禁止論は国際的には通用しないとも言われる。

 自衛隊に関するこれまでの憲法論議は、詭弁や非論理的な解釈がまかり通り、自衛隊の 存在と活動を国際社会の常識からずれたものにしてきた。テロ対策をめぐる憲法論議が、各党に都合のいい解釈論争に陥り、非生産的な国会攻防に終われば、国益を損ねることになりかねない。


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