伊勢神宮土産として古くから知られる和菓子「赤福餅」を製造する菓子メーカー「赤福」(三重県伊勢市)が、店頭に並ばなかった製品の包装紙を新たなものに包み変え、消費期限も再設定する「まき直し」と呼ばれる行為を日常的に行っていたことが分かり、農林水産省は12日、JAS(日本農林規格)法違反で同社に改善を指示した。
同省によると、こうした行為は1973年から34年間にわたって続けられていた。最近3年間では、製造された製品の18%にあたる約600万箱で虚偽表示が行われていたという。
関係者によると、同社は製造しながら店頭に並ばなかった商品を、廃棄せずに冷凍保管。後日解凍し、包装紙を新たなものに取り換え、解凍日を製造日、その数日先を消費期限として再設定し、出荷していた。
本社工場だけでなく、大阪営業所などでも同様の行為が行われていた。三重県、大阪市保健所などは商品の品質も調べたが「衛生的に問題のある状態ではなかった」としている。
赤福は11日の毎日新聞の取材に対して「調査を受けたのは事実だが、工場内での製造工程については一切、明らかにできない」と話していた。
この問題で、東海地方の百貨店や駅売店では12朝から赤福餅の一斉撤去が始まった。【飯田和樹、山口知】
◇百貨店など撤去
赤福を販売している東海地方の百貨店や駅の売店では撤去の動きが始まった。名古屋駅前の名鉄百貨店の地下売り場では、偽装疑惑が報じられた12日朝、店頭にあった赤福を一斉に撤去。販売を見合わせるという張り紙が出された。