医師らが患者からの暴力などに脅かされる「院内暴力」について、佐賀県医師会が県内医療機関に過去10年の被害調査を初めて実施したところ、44機関から209件の報告が寄せられたことが12日、分かった。未回答の医療機関が多く、同医師会は全体状況は分からないとしているが、身体的暴力や恐喝など具体的実態の一端が浮かび上がった。医療関係者は「報告は氷山の一角にすぎない」と指摘。日本医師会も「全国でも相当数に上るのではないか」とみている。
院内暴力は、患者の権利意識の向上などを背景に、ここ数年、目立ってきているとされる。実態を把握するために、日本医師会は7月末、各都道府県医師会に過去10年の相談事例を初めて照会。これを受け、佐賀県医師会が8月初旬、公立・民間の病院や有床診療所など県内の689機関に調査文書を送付した。
調査結果の報告の中では「混乱状態の患者からけられた」「顔を殴られ、メガネを壊された」など身体的暴力のほか、「『治療ミスだ』と因縁をつけられ、金銭を要求された」という恐喝、窓ガラスを割られる器物損壊などの実態があったとされる。
また看護師が受けた被害で最多は「男性患者から尻を触られた」などのセクハラ行為。病院側に訴え出たケースが50件近くに上り、ストーカー行為の報告もあった。
今回の調査では9割以上が未回答だったが、医療関係者は「残りの医療機関でも同様の院内暴力はあるはず」という。
小田康友・佐賀大医学部准教授は「患者からの暴力は昔からあったが、今は予約なしの検査といった無理な要求や医師が予測できない原因で暴言・暴力に及ぶ」と深刻なモラル低下を指摘。一方で「医療従事者も対応できるだけのコミュニケーション能力を高めていく必要があるだろう」と対策強化を訴えている。
=2007/10/13付 西日本新聞朝刊=
院内暴力は、患者の権利意識の向上などを背景に、ここ数年、目立ってきているとされる。実態を把握するために、日本医師会は7月末、各都道府県医師会に過去10年の相談事例を初めて照会。これを受け、佐賀県医師会が8月初旬、公立・民間の病院や有床診療所など県内の689機関に調査文書を送付した。
調査結果の報告の中では「混乱状態の患者からけられた」「顔を殴られ、メガネを壊された」など身体的暴力のほか、「『治療ミスだ』と因縁をつけられ、金銭を要求された」という恐喝、窓ガラスを割られる器物損壊などの実態があったとされる。
また看護師が受けた被害で最多は「男性患者から尻を触られた」などのセクハラ行為。病院側に訴え出たケースが50件近くに上り、ストーカー行為の報告もあった。
今回の調査では9割以上が未回答だったが、医療関係者は「残りの医療機関でも同様の院内暴力はあるはず」という。
小田康友・佐賀大医学部准教授は「患者からの暴力は昔からあったが、今は予約なしの検査といった無理な要求や医師が予測できない原因で暴言・暴力に及ぶ」と深刻なモラル低下を指摘。一方で「医療従事者も対応できるだけのコミュニケーション能力を高めていく必要があるだろう」と対策強化を訴えている。
=2007/10/13付 西日本新聞朝刊=