トルコのアルメニア人殺害は虐殺 下院委員会が決議案承認
2007.10.11
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10:18
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- CNN
ワシントン(CNN) 米下院外務委員会は10日夜、第一次世界大戦当時のオスマン・トルコ帝国で大勢のアルメニア人が殺害されたことを「大虐殺」(ジェノサイド)と認定する決議案を、27対21の賛成多数で承認した。決議案に法的拘束力はない。
ブッシュ政権幹部は、議員らに決議案に反対するよう働きかけていた。大統領はホワイトハウスで、トルコが北大西洋条約機構(NATO)や国際テロ対策における米国の重要な同盟国であるとの認識を示し、決議案によってトルコとの関係が大幅に悪化する可能性を警告。「1915年に始まったアルメニア人の悲劇的な苦しみをわれわれは深く遺憾に思うが、今回の決議案はそうした歴史的な大量殺人への正しい対応ではない」と語った。
ライス米国務長官とゲーツ米国防長官もホワイトハウスで記者会見し、イラク駐留多国籍軍のペトラウス司令官やクロッカー駐イラク米大使、ファロン米中央軍司令官が決議案への懸念を示したと語った。ライス長官は、何年も前に起きたアルメニア人殺害を非難したい人々の感情に理解を示したうえで、「この時機の決議案採択は、われわれの中東政策にとって大変厄介だ」と明言。トルコが中東政策の戦略的同盟国であり、米国の依存度が高いことを理由に挙げた。ゲーツ長官も、イラク駐留米軍向け航空貨物の70%、燃料の30%がトルコ経由で輸送されていることを挙げ、トルコと良好な関係を保つことの重要性を強調した。
下院で過半数を占める民主党の指導部は、下院本会議で決議案を審議する意向を表明。決議案を提出したアダム・シフ下院議員は、支持者が既に226人にのぼっており、本会議での採択に必要な票数を上回っている、と語った。
ただ、トルコのギュル大統領はブッシュ米大統領への書簡で、決議案が採択された場合「両国関係に深刻な問題が生じるだろう」とけん制。トルコの駐米大使もCNNに対し、決議案採択が「トルコ国民の心を大きく傷つける動き」になると述べ、トルコと米国およびアルメニアの関係にとっても痛手だと指摘した。