・前原氏がテロ特措法は恒久法を制定すべきと主張 ~党内のコンセンサスを取れない民主党~
テーマ:日本・政治問題前原誠司の「直球勝負」(40) ~ 日本はテロとの戦いに加わり続けるべきだ ~:前原氏HPより
(前略)このテロは、ビン・ラディンを主犯とするアルカイダというテロ組織によって実行された。その巣窟となり、タリバンという武装勢力が支配するアフガニスタンに、アメリカは報復攻撃、つまり個別的自衛権を発動した。こうして始まったのが「不朽の自由作戦(OEF)」である。北大西洋条約機構(NATO)やオーストラリアなどは初めての集団的自衛権の行使を行って攻撃に加わり、あるいはアフガニスタンを攻撃するアメリカを支援した。国連の安全保障理事会も、すぐに国連決議1368を採択し、加盟国の個別的自衛権、及び集団的自衛権を確認すると共に、テロは決して容認できない旨の非難決議を行った。
日本もテロ対策特別措置法を成立させ、今日に至るまで、インド洋に海上自衛隊の補給艦を派遣して、アメリカやフランス、パキスタンなどに対して油や水の補給を無料で行ってきている。民主党は当時、法案審議の際に与党と修正協議を行ったが、「自衛隊を出す場合は国会の事前承認が必要だ」と主張する我が党と、「事後で構わない」とする与党が対立し、結局、修正協議は整わなかったが、洋上給油活動を基本とする基本計画には、民主党も賛成した。
後にアフガニスタンでカルザイ政権が誕生したが、国連決議1386によってISAF(国際治安支援部隊)が組織され、NATOが中心となってアフガニスタンの治安を維持してきた。OEFもカルザイ政権誕生後、アメリカの個別的自衛権と同盟国の集団的自衛権の行使という位置づけから、アフガニスタン政府の要請によって行われる活動と活動根拠の転換が図られている。
*日本の協力に関わる問題点
テロ対策特別措置法は、あくまでも時限立法であるが、数度の延長が繰り返されてきた。私は、テロとの戦いには加わるべきだという立場ではあるが、時限立法を何回も延長するという形態には疑問を感じてきた。一般法、あるいは恒久法が、本来のあるべき姿ではないだろうか。同時に、政府の説明責任、情報開示にも、大いなる疑問を感じざるをえない。補給活動は年々減少しているのだが、政府の説明は「抑止効果がでているから」というものであり、その背後にある具体的な説明は一切されてこなかった。抑止効果がでているのであれば、アフガニスタン国内の治安状況も改善に向かっていいはずだが、その兆候は一向に見られない。(中略)
*なぜ、日本はテロとの戦いに加わるべきなのか?
テロとの戦いに加わるべき理由を、主に3点挙げたい。
(1)アフガニスタンにおけるテロ撲滅活動は、国連決議も数次行われたうえで、国際社会が一丸となって行われている。中には犠牲者を出しながら努力を続けている国々もある。国内資源に乏しく、食料自給率も4割を切り、自由貿易で恩恵を受けている日本は、平和な国際環境を築くために主体的に関わるべきである。
また、日本は中東に9割以上の石油を依存しており、この地域の不安定化や混乱は、石油価格の高騰となって日本経済に襲いかかる。だからこそ、この地域や、タンカーの航行路であるペルシャ湾、インド洋の安全・安定は、日本の国益上、極めて大きな意味を持つのである。
(2)アフガニスタンの治安を維持することは、不安定なパキスタン政情の安定にも大きく寄与している。アメリカの世論調査では、最大の敵対国はパキスタンであり、現にテロ組織を国内に野放しにしているのではないかと懸念も根強い。しかし、ムシャラフ大統領はイスラム国家でありながら、何とかパキスタンもテロとの戦いに関与し続けようと努力している。日本はパキスタン海軍にも大量の油と水を提供しており、日本が抜けることはパキスタンのみならず、OEF参加国に大きな痛手となる。また、パキスタンは核保有国であり、パキスタンの政情が不安定になれば、核の技術や核関連物質が拡散し、テロ組織に核が渡る可能性が高まる。現に北朝鮮の核開発は、パキスタンの科学者・カーン博士の「闇のネットワーク」に助けられたことを忘れてはならない。
(3)日米同盟関係は、日本の外交と安全保障の基軸である。日本の安全保障において、インテリジェンス(情報)やミサイル防衛・戦闘機・イージス艦などの装備は、好むと好まざるとに関わらず、アメリカにおんぶに抱っこである。また、アメリカと強固な同盟関係にあることによって、北朝鮮の核開発問題、中国の台頭、そして韓国・アセアンなどとのより信頼感のある関係維持に対処することが出来よう。これを安易な対米追従と忌み嫌ってはならない。もちろん、アメリカの要求にすべて応えるべきだなどと言うつもりは全くない。筋の合わない要求、例えばイラク戦争には毅然と反対すべきであるし、戦後占領されたままの基地や航空管制権の返還は、主体的に進めていかなければならない。
以上のように、情報公開や説明責任は政府にしっかりと求めながらも、日本の国益、世界の安定のために、日本はテロとの戦いに加わり続けるべきだと、私は考える。
民主党の元代表である前原氏のHPに掲載された文です。ご存知の通り民主党は、現在テロ特措法の延長に真っ向から反対の立場を取っており、小沢代表もそれを明言しています。首相交代の混乱もありましたが、民主党の反対の影響で一時的に現在派遣されている自衛隊は、来月以降からの活動停止を余儀なくされてしまいました。ところが前代表という立場の人が、一方ではこのような文書を発表する。いったい民主党という政党はどうなっているのでしょうか。
長文の為かなり省略していますが、この前原氏の文は至極真っ当な内容です。当Blogで何度も指摘している、なぜテロ特措法の延長が必要なのか、米国との良好な同盟関係が必要なのかその理由が日本の国益という立場からもそっかりと説明されています。
さらにその一方でテロ特措法に反対する小沢代表は、政権を取ったらアフガン国際部隊であるISAFへ自衛隊を派遣すると明言しました。ISAFは国連安保理決議によって創設されている部隊で、現在はNATOが指揮をとる実質的な戦闘部隊です。この発言に驚いた人も多いのではないでしょうか。閣僚などからもこの発言に対して大きな疑問の声が上がっていますが、同じく国連決議で活動が評価されているOEFで、実戦部隊ではない補給艦による後方支援はダメだが、ISAFによる武力行使はOKであり憲法違反ではない。これを理解できる人はいるのでしょうか?
仮に、自衛隊が補給した燃料がイラク作戦に参加した米艦船に使われた可能性があり、それが憲法違反の可能性があると言うのであれば、その点だけを厳格に規定した修正案や対案を民主党も作ればよい。それもせずに、とにかくダメであるの一点張り。でも実戦部隊である地上軍への参加はOK。そうかと思えば、テロ特措法なんて一時的な法律ではなくて恒久法を作って日本の国益の為にしっかり国際貢献すべきという人がいる。もう滅茶苦茶で何が何だかわかりません。
とてもじゃないですが、こんな政党に政権をまかせるなんてことはできません。まず党内のコンセンサスを取るという最低限のことをしてから議論の場に出てきていただきたい。民主党内でコンセンサスが取れているのは、”自民党の法案にはとにかく全て反対しなければならない”強烈に伝わってくるのはこの一点のみです。
以前の記事でも書いたことがありますが、民主党は再分裂するべきです。未だに党内でバラバラの意見を持っており、それを平気で各自発表したり発言する。そんなレベルの政党が日本の最大野党で次期政権を狙っているというのですからため息が出ます。
参考書籍:
民主党はなぜ、頼りないのか 不毛の二大政党制の根源を探る
田村 重信
石破茂・前原誠司ほかが集中講義!日本の防衛 7つの論点 (別冊宝島Real)
黒井 文太郎
■無題
自己本位と責任転嫁が民主党のポリシーなんだし、支持しているメンツを見ればメチャクチャな党なのは当たり前。
「オキナワを中国の自治区にします」とも言ってたな、この党。だから琉球土人は民主党を支持してるのかw