中医協基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)は10月12日、後期高齢者の入院医療について話し合い、退院後を見越した診療計画の策定や関係者による情報共有に対する評価を手厚くするよう、次の診療報酬改定で対応する方向を固めた。高齢者の「主治医」と受け入れ先医療機関、薬局、訪問看護ステーションなどの連携を強化することで、入院初期の段階から計画的に医療を提供できるようにする。
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後期高齢者の骨子がまとまる 一連の方向性は、医療・介護・福祉関係者間の連携を強化することで、後期高齢者の円滑な退院につなげるのが狙い。
厚労省はこの日、社会保障審議会の特別部会がまとめた「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」の中から「入院医療」を取り上げ、「入院時」「入院中」「退院時」に分けてそれぞれの課題と論点、診療報酬上の評価の在り方の案を示した。
それによると「入院時」の段階では、退院後を念頭に置いた医療を初期段階から提供できる体制の構築を目指す。そのため、受け入先医療機関が病状安定後の早期に行う患者の日常生活能力・認知機能・意欲などに関する総合的評価に基づいて、退院後を見越した診療計画を作成した場合に診療報酬を手厚くすることにした。また、在宅患者の病態急変に対応するため、主治医の要請を受けて患者を受け入れた場合にも報酬を算定できるよう仕組みも検討する。
一方、「入院中」の課題には、医療・介護・福祉関係者らによる情報共有を促進し、患者の退院後の生活を支える必要性を指摘した。そのため、医師・看護師が療養生活に必要な指導を共同で実施した場合に算定できる現行の「地域連携退院時共同指導料」の対象を拡大。医師と看護師だけでなく、歯科医師と薬局薬剤師が共同指導に参加した場合にも算定を認める方向を示した。
このほか共同指導以外の取り組みによる情報提供を促進させるため、現行の「診療情報提供料」を見直す。また、入院中の使用薬剤の副作用や栄養指導に関する情報を患者や関係者に提供した場合にも、診療報酬で評価する方向ことを検討する。
「退院時」には、地域の主治医が患者の退院後に引き続き指導する場合の診療報酬を手厚くする。また、看護師や社会福祉士らが中心になって作成した「退院支援計画」どおり退院の難しい患者が退院できた場合に、報酬を算定できる仕組みも検討する。同時に訪問看護師らによる退院前指導や退院時の支援も評価する。
後期高齢者基本問題小委が後期高齢者医療の診療報酬について意見交換したのはこの日が初めて。後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子は、入院以外に「在宅医療」「終末期医療」「外来医療」ごとに考え方を示しており、基本問題小委で順次、取り上げる。
更新:2007/10/12 キャリアブレイン
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