厚生労働省は10月12日、「社会保障審議会介護給付費分科会」(分科会長=大森彌・東京大学名誉教授)を開き、2008年度から新設される「療養病床から転換した老人保健施設」(医療機能強化型老人保健施設)の介護報酬上の評価をめぐる審議に着手した。夜間の看護職員の配置や看取りへの対応などの算定要件を明確にした上で、既存の老健の施設サービス費に加算する方向で調整に入った。 国による療養病床削減策を受けて今年6月、療養病床の転換を促進する処置として、転換型老健の新設が決定した。
転換型老健については、既存の老健と比較して、現在の療養病床に医療ニーズの高い入院患者がいることから、24時間の医療処置と緊急対応、また看取りへの対応が必要。これらのニーズに対応できる医療職の配置を適切に評価する介護報酬改定が08年度から開始されることが決まっており、同分科会では具体的な内容を検討していく。
厚労省はこの日、転換型老健の介護報酬上の評価手法について、算定要件を明確にした上で既存の老健の施設サービス費に加算する形で行うか、新しい施設サービス費を設けるかを論点として提示。前者の加算で行うことを推奨し、委員もおおむね了承した。
加算にあたっては今後、入所者全員がほぼ等しく受けるサービス項目として、夜間等の看護職員の配置や医薬品費・医療材料費などの物品費などを検討。入所者の状態により個別のニーズが異なる項目として看取りへの対応も取り上げる。
また、常勤医師のいない時間帯における入居者の突然の状態悪化に対応するため、医師のオンコール対応や他の医療機関の医師の往診が想定されるが、これについては診療報酬での評価の是非を議論する。
さらに厚労省は、療養病床からの転換促進期だけでなく、医療ニーズの高い人の一定以上の入所を引き続き担保する観点から、転換型老健では、日勤帯以外で看護が必要な人の割合を一定程度以上確保するなどの設定基準を設けることを提案した。
田中滋委員(慶応義塾大学教授)はこの提案に関して「入所者の基準をどのように設定するのかということは、最も重要な論点」と発言。「もしこの設定が整合性のある形で明確になされないのであれば、従来の老健とは違う施設を新設する意味がない」と指摘した。
大森会長もこの意見に賛同し、厚労省は「次回までに明確に提示する」とした。
このほか、分科会では、地域の中でより在宅に近い環境の下で在宅復帰を目指す定員29人以下の「小規模介護老人保健施設」の人員基準と介護報酬の算定日程上限の見直しを議論。
小規模老健は病院や診療所に併設される医療機関併設型と、本体老健と密接な連携を確保しつつ別の場所で運営されるサテライト型の2類型があるが、これらは06年4月に創設以降、現在まで指定申請は行われていない。
これについて厚労省は、療養病床からの転換促進措置として、報酬の算定要件や人員基準を緩和することを提案。委員も了承し、2類型ともに介護報酬の180日の算定日数上限を撤廃すること、また医療機関併設型について規定されている支援相談員と介護支援専門員の配置を非常勤でも可能とすることが決定した。
更新:2007/10/12 キャリアブレイン
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