「いじめをなくす木にしたい」と自宅の庭に植樹する森順二さん(左)と美加さん=福岡県筑前町で2007年10月11日午前11時、田中雅之撮影 |
福岡県筑前町立三輪中2年の森啓祐君(当時13歳)がいじめを苦に自殺して11日で1年を迎えた。両親はこの日、「啓君を忘れない」という思いを込めて自宅庭に春と秋に2度咲く十月桜の苗を植えた。
父順二さん(41)がこの時期にも咲く木を、と選んだ。久しぶりに晴れ間がのぞいたこの日、啓祐君が亡くなった自宅倉庫の近くに、白い花が数輪咲く苗木を植えた。母美加さん(37)は「1年前を思い出すとつらいが、家族全員で受け止めて前に進みたい」と話した。
啓祐君の死から1年。美加さんは「これ以上苦しむ子どもや親を見たくない」と、いじめが招く悲惨さや教育現場での取り組みを訴えて講演活動などをしてきた。順二さんは「花が咲くたび、啓祐を思い出せる。啓祐を思い出すたび、この問題を忘れてはならないと誓うことができる」と話す。
両親は桜の木が天に向かって伸び、枝葉が茂るのを楽しみにしている。【高橋咲子】
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