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甲子園だより

著者紹介

神田憲行

(かんだ・のりゆき)

1963年、大阪生まれ、ノンフィクション・ライター。大会終了後に発売される完全保存版「2006甲子園Heroes(ヒーローズ)」(朝日新聞社刊)の取材のため、 期間中は甲子園通いの日々を過ごす。甲子園取材歴は10年を越える。送りバントよりヒットエンドラン派。守備はショートの動きを見るのが好き。著書に『横浜vsPL学園』(共著、朝日文庫)、『97敗、黒字。』(朝日新聞社刊)など。

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刻まれた記憶  08月17日

写真

 日大山形、やりました。山形県勢で初の夏8強入りです。しかも延長戦で逆転サヨナラ勝ちですからすごいですね。駒大苫小牧の試合をみているようでした。おめでとうございます。日大山形の荒木監督は71年生まれ。延長戦で今治西に得点されても、ベンチ前でじっと自分の選手たちのプレーを静かに見つめていた姿が印象的でした。

 さて、八重山商工。率直に言って「力負け」だったと思います。試合後に石垣島の人たちから「祐太の調子が悪かったのかな」と何度かたずねられたのですが、大嶺の調子はこの甲子園でもっとも良かったと思います。たとえば5回、逆転3ランを打たれたあとに2者連続三振で切り抜けています。今までの大嶺投手なら、あそこでガタガタといったでしょう。そこを切り抜けたのは人間的成長を遂げられた証拠だと思います。

 じゃなぜ打たれたのかというと、智弁和歌山の打者のスイングが鋭かった……というしかありません。八重山商工の打者の飛球が良い角度で上がってもフェンス際で次々と失速していったのに対し、智弁和歌山の打球は外野手の頭を越えていきました。センターの中里選手は「打球がものすごく速い。打ったらすぐ来る」と驚いていました。他のチームならシングルでとまる打球が、外野手の頭を越えていきました。

 投手の潜在能力は、大嶺投手の方が明らかに上だと思いますが、智弁和歌山の橋本捕手の配球も素晴らしいものがありました。あのチームは中谷、岡崎という好リードの捕手をよく作ってくるのです。伊志嶺監督も「132、3キロの球をうまく140キロの球に見せかけていた」と舌を巻いていました。

 あのう、石垣島のみなさん、がっかりする必要なんかありませんよ。それが全国レベルの野球ということなのです。島の野球はまだ始まったばかりじゃありませんか。今は八重山商工の選手たちが思い切りプレーできたことに拍手しましょう。

 春に横浜に負け、夏に智弁和歌山に負け、勝ちを譲るに値する相手です。選手たちの心と身体には「最強の敵の記憶」が刻まれたことでしょう。あとはそれをいかに後輩たちに伝えていくか、ということです。伊志嶺監督からこんな話を聞きました。

「もう石垣には、大嶺にぃにぃ(お兄ちゃん)みたいになりたい、金城(長靖)にぃにぃみたいになりたいという子どもばっかりよ」

 嬉しいじゃないですか。

 宿舎で大嶺投手も笑顔でした。

「今日は全部できた。満足できるピッチングでした」

 やっぱりそうか。私も思わずこう言って握手してしまいました。

 良かったな、祐太。

写真は試合前、球場入りする八重山商工ナイン。

読者の声

 大会11日目、甲子園球場で観戦しました。一回戦で三重高校を破ってさらに3回戦まで勝ち進んだ熊本工業は守りがかたく、チャンスには確実に点をとっていく高校野球の基本に忠実なさわやかなチームで、いつのまにかファンになっていました。テレビでは気づかなかったのですが、熊工の選手は守備につくときに、脱帽してスタンドの観客に向かって深深とお辞儀をし、きちんと挨拶をしてからプレイするのです。感動しました。 スター選手の活躍も大きな魅力ですが、甲子園は高校生の野球の大会であることを忘れてはいけないと改めて思います。いくつになっても、無我夢中だった若い時を思い起こさせてくれ、熱い感動をもらえます。優勝にのぼりつめていくチームも、負けて球場を去るチームも、今しかないこの時を燃やしているからこそ、その姿が美しい。汗と泥でよごれた懸命なプレー、笑顔、涙、脚本のない一瞬のドラマをみたくて、毎年高校野球から目が離せないのです。ファンのひとりとして、熊工の選手たちに、感謝の気持ちと敬意をこめてお辞儀を返したいと思います。ありがとう。

ののえ さん (46)   女性   三重県

 ベスト8は分厚い壁ですね。大嶺くんの最後まで笑顔だった姿に、きっとまたどこかで会える...そんな気持ちになりました。ゲームセット後の握手やインタビューの清々しさ。なんて素敵なチームなんだろうと心の底から思いました。島に帰れば熱烈な歓迎が待っているのと同時に、先々の進路の事も考える時期になりますが、みんなにはどんな形であれ野球に携わってもらいたいですね。お疲れ様!感動をありがとう!!

はいむるぶし さん (30)   女性 埼玉県

 野球に全く興味のなかった私ですが、その野球に今年の夏は心躍らされました。八重山商工野球部の皆さん、素敵な夏をどうも有難う。どの試合も最後まで諦めずに、仲間を信じて戦い抜いた姿が印象的でした。そしてあの笑顔。八重商ナインを応援することで、キラキラとした青春を、共に体感出来たように思います。本当に有難う。そしてお疲れ様でした。

ヤマヨリ さん (28)   女性   神奈川県

 昨日は、朝5時に起きて、2校の応援に行きました。一校目は、母校早稲田大学系列の早稲田実業。二校目は、私の故郷(本籍地)の今治西。早実は、6回表の併殺プレーで流れを掴み、その裏、一気呵成の攻撃による逆転劇でした。”紺碧の空”の連発で、嬉しい時間を共有できました。 今治西は良く頑張りましたが、歴史を作ろうと言う日大山形の執念が上回った一戦でした。素晴らしい試合でしたので、来年またこの対戦を見たいと思いました。 ところで、この試合は、私と家内の郷土対決でもありました。山形出身の家内は大喜びでした。まあ、早実が勝ちましたので、私としましては痛み分け分けと言う所でしょうか。 次はこの2校の対戦です。早実に勝ってもらいたいのはヤマヤマですが、共に悔いのない試合をして頂ければと思います。生涯にただ一度の時間を大切にして下さい。

熊猫刑事 さん (51) 男性 大阪府

 初出場で二つも勝ち”ベスト8”とは 夢のようです。 あとは だめもとで頑張ってほしい 遠く台湾から母校鹿児島工業の選手に必死の応援をしています 実況放送が見られないのでインターネットで1球毎の変化に一喜一憂しています

鹿工卒業生コマー さん (66)   男性   台湾新竹市

 昨日の「伝令の中身は…」には思わず笑ってしまいました。自分の子どもにさえ腫れ物に触るようように遠慮する親のいる中、ああいうことが言える監督、「監督を見返したかった」と頑張った大嶺投手、いいですね。お互いの信頼関係のなせる業でしょう。「怖い親父」がいなくなった今、伊志嶺監督の言動は痛快です。 ps:先日の私の投稿にお返事いただき、ありがとうございました。神田さんから「ツウ」認定していただいた息子も喜んでいました。

雄三はは さん (50) 女性   福岡県

 とにかく彼らの成長振りが観られて嬉しい! 昔っから大好きだった高校野球をこの春約6年ぶりに観た私。試合前の八重山商工監督・選手のドキュメントを観て、春も初戦から前のめりで応援。その時の彼らも技術的には充分すごかったんだろうけど、精神面での違いは一目瞭然。この夏は目が違う。松代戦・9回の長靖くんの皓々たる眼を見てその強さを確信したのでした。 きっと、ファイナルまで行ってくれますよ〜。 それにしても、神田さんのコラム、いいですねー。こういう舞台裏の取材話は大好きです。アシスタント、要りませんか?

ako in KOZA さん (27) 女性   okinawa city


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