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【静岡】

熊本の赤ちゃんポスト設置病院看護部長が 浜松南部中で命の大切さを訴える

2007年10月12日

 養育が困難な保護者から新生児を受け入れる「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」を全国で初めて設けた慈恵病院(熊本市)の看護部長、田尻由貴子さん(57)の講演が11日、浜松市中区の南部中学校で開かれた。生徒と保護者ら約800人が聞き入り、命の大切さに思いをはせた。

 同病院では今年5月、赤ちゃんポストの運用を開始し、9月末までに8人の新生児らが預けられた。乳児院で育てられ、生みの親が不明か、名乗り出ても養育が困難な場合、里親や児童養護施設に引き渡されることになる。

 構想発表は昨年11月で、評価の声とともに、「産み捨てを助長する」との批判も一部に残る。

 田尻さんは7月末時点の相談件数について、構想発表後で260件、運用開始後で76件に上り、7割以上が県外だったと説明。「ゆりかごは最後の手段で、相談を機に幸せな出産、子育てを支えることが本来の目的」とした上で、周囲に黙っての出産、虐待などによる死亡の可能性を低減できるとし、「小さな命を守る社会を目指しており、救われた命もあった」と成果を強調した。

 「中高生は性衝動を抑制し、命にもっと責任を持ってほしい」と求めた。運用後に預けられた人数や処遇など、具体例には触れなかった。

 講演は同校の働きかけにより、県内で初めて実現した。

 主に熊本市内の学校で講演してきた田尻さんは「熊本以外の生徒に聞いてもらえてうれしい。性教育の観点からも中学生は大切な時期で、命の大切さを考えるきっかけになれば」と話していた。

 

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