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エンターブレインの浜村社長がセミナー“2007年秋季 ゲーム産業の現状と展望”を開催


●変化の主役は“時代に選ばれた携帯ゲーム機”ニンテンドーDS

▲毎回春と秋に行われている“ゲーム産業の現状と展望”も今回で6年目。アナリストやマスコミ関係者などを対象としている。


▲2007年度上半期のゲーム産業の動向を分析するエンターブレインの浜村弘一代表取締役社長。

 2007年10月12日、エンターブレインの浜村弘一代表取締役社長によるセミナー“2007年秋季 ゲーム産業の現状と展望”が行われた。こちらは、アナリストやマスコミなどの業界関係者を対象に、ゲーム産業のいまを俯瞰すべく浜村社長が半年に1度のペースで定期的に実施しているもの。“変化の向こうにあるものとは”とサブタイトルがつけられた今回のセミナーでは、いま世界のゲーム市場で変化の波が訪れつつあることが、豊富なデータベースによる裏づけをもとに分析された(以下の販売数はすべてエンターブレイン調べ)。

 変化の波の中心にあるのは、いうまでもなくニンテンドーDSだ。現時点(2007年9月30日まで)における国内での販売台数が1937万台を超えたニンテンドーDSは、2007年末までの販売台数が2100万台を超えることが予想されており、「いままでにまったくなかった異質のスピードで成長を続けている」(浜村)という。ニンテンドーDSの躍進を支えているのは、昔ゲームで遊んでいたけれど最近は遊ばなくなってしまっていた “回帰ユーザー”と、“新規ユーザー”で、両者を合わせると全ニンテンドーDSユーザーの65パーセント近くに上る。なかでも浜村社長が着目したのが“回帰ユーザー”で、30〜40代の“回帰ユーザー”がニンテンドーDSの市場を大きくしているのではないかと分析。結果として、「任天堂のゲームへの無関心との勝負は確実に成果を上げている」(浜村)とした。

 学習系ソフトに引き続き、“役に立つ”をキーワードに、“健康・美容ジャンル”がつぎなる市場として立ち上がる可能性が高いことを指摘した浜村社長は、「“役に立つ”に惹かれてニンテンドーDSを購入したユーザーは、つぎは果たしてゲームを買うのか?」という設問を投げかけ、興味深い調査結果を紹介した。“最初に実用・学習系タイトルを購入したユーザーがつぎに購入したソフト”として、学習系以外の任天堂タイトルを購入したユーザーが32.5パーセント、ほかのメーカーのタイトルを購入したユーザーが9.4パーセントと、合計41.9パーセントのユーザーがゲームを購入したというのだ。その調査を踏まえ、浜村社長は「ニンテンドーDSで、今後ゲームが伸びる可能性は大きくある」と説明。その流れはすでに、既発売のゲームの販売傾向にも如実に現れており、『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』は33.2パーセント、『NEW スーパーマリオブラザーズ』に至っては40.5パーセントが、いままであまりシリーズをプレイしてこなかった新しいユーザーであるという。

 また、ニンテンドーDSの最近の傾向として、レベルファイブの『レイトン教授と不思議な町』やカプコンの『逆転裁判4』に代表されるアドベンチャーゲームの比率が増えてきている。「学習系ソフトから入ったユーザーが、タッチペンを操作するだけで物語を進められるアドベンチャーを好んだのではないか」(浜村)という。ファミコンの時代にも、アクションゲームという間口の広いジャンルから入ったユーザーが、アドベンチャーそしてRPG&シミュレーションへと親しんでいったのと同じ流れが、ニンテンドーDSでも生じるのではないかと浜村社長は分析する。さらにニンテンドーDSには、「RPGとして初めて家庭用ゲーム機で成功したタイトル」(浜村)の『ドラゴンクエスト』シリーズが控えており、『ドラゴンクエスト』シリーズがニンテンドーDSをさらに普及させると結論づけた。学習系ソフトのヒットにより、ゲーム人口の拡大に大きく貢献したニンテンドーDSだが、アドベンチャーゲームや『ドラゴンクエスト』シリーズなどにより、今後もゲームの普及にさらに貢献しそうだ。

 ニンテンドーDSとは対照的に、10代のゲームユーザーに訴求しているPSP(プレイステーション・ポータブル)は、値下げ効果もあり2007年9月30日末までで634万台を販売。「ソフト次第ではまだまだ伸びる可能性があるのでは」(浜村)としている。

▲現時点でニンテンドーDSの2割以上のユーザーが『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』を購入予定。今後のニンテンドーDSのカギを握るソフトであることは間違いない。

▲PSPユーザーのほとんどはニンテンドーDSユーザーであり、PSPユーザーにいかに熱心なゲームファンが多いかわかる。ゲームユーザーの600万人は、ニンテンドーDSのゲームらしいゲームを購入する潜在的なゲーム層でもある。



●Wii、プレイステーション3、Xbox 360と三者三様の戦略

▲2007年9月30日における国内でのWiiの販売台数が354万4748台なのに比べ、プレイステーション3は121万242台と、その差は約3倍。ソフトの装着率もWiiは2.62に対し、プレイステーション3は1.79に留まっている。


 昨年末に出揃った新世代ゲーム機では、やはりWiiが絶好調。「国内では、Wiiの累計販売台数がプレイステーション3の3倍となっており、それは世界的な傾向」(浜村)であるという。ただし、『Wiiスポーツ』が200万本、『マリオパーティ8』が80万本以上売れているのに対して、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』は53万本、スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔』は47万本に留まっていることに言及し、「ゲームファンに訴求するソフトは50万本程度に留まっており、家族で遊ぶコミュニケーション要素の強いソフトが売れています」(浜村)と説明した。


 とはいえ、Wiiは今後も大いに期待できそうだ。12月1日に発売が決定した『WiiFit』は、Wiiユーザーの属性に合っているためにキラータイトルとしてハードを牽引することは間違いないし、『スーパーマリオギャラクシー』(11月1日発売予定)と『大乱闘スマッシュ ブラザーズX』(2008年1月24日発売予定)も控えている。そして何よりも大きいのは、カプコン『モンスターハンター3(トライ)』の発表だという。

 「『モンスターハンター』シリーズの人気は中高生が支えているのですが、Wiiはその層が弱かった。つまり、Wiiにとって『モンスターハンター3(トライ)』は、欠けていた最後のピースだったのです。『モンスターハンター3(トライ)』によってゲームファンがWiiに興味を持ち始めているし、年末年始には『スーパーマリオギャラクシー』と『大乱闘スマッシュ ブラザーズX』というゲームファンに訴求するタイトルも発売される。Wiiはこれにより、ゲームファンにも受け入れられるでしょう」(浜村)

 また、『モンスターハンター3(トライ)』が、ゲーム関係者に及ぼす影響も見逃せないだろうと浜村社長は指摘する。『モンスターハンター』シリーズは、グラフィックの水準が極めて高くマシンに負荷のかかるゲームだった。それがWiiで発売されるということで、多くの経営者が「『モンスターハンター』シリーズがWiiで出せるなら、うちのゲームもありだな」と判断するだろうというのだ。「家庭の誰からも嫌われないハード」としての立場を確保したWiiは、この年末さらにゲームマシンとして訴求するだろうというのが浜村社長の分析だ。

 一方で、Wiiと比較すると少し勢いがないのがプレイステーション3の現状だ。プレイステーション3ならではのソフトがなく、ラインアップ不足が響いているのがその要因。とはいえ、「垂直立ち上げはないが、今後はじわじわと販売台数を伸ばしてくるのではないか」と浜村社長は予測する。プレイステーション3の本当のスゴサを実感するにはハイビジョンテレビの存在が不可欠であり、まずはハイビジョンテレビが家庭に普及するのを待たなければならないからだ。「プレイステーション3が本領を発揮するのは家庭にハイビジョンテレビが行き渡りはじめる2009年から2010年にかけてではないか」(浜村)という。海外ではいまだにプレイステーション2が大人気で、欧米でXbox 360の販売台数が少し落ち始めているという事実も、いま焦ってプレイステーション3を普及させる必要がないという戦略の正当性を後押ししている。値下げの発表も好材料と言えるだろう。ただし、「互換性がなくなったのは気になる」と浜村社長は言う。「70パーセントのユーザーが互換性を重要視している北米では、とくにそれが痛い。互換性がなくなったことで、プレイステーションフォーマットの根幹が揺らいでいるという印象を受けます」(浜村)。

 とはいえ、ラインアップ不足が叫ばれるプレイステーション3にあって、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は自社タイトルの充実に重点を置き始めている。有力な開発会社を相次いで買収し、自社スタジオを強化しているのだ。もともとは、海外では圧倒的な実績を誇るSCEの自社タイトルだけに、今後は強力なタイトルが出てくることが期待されるところ。「タイトルが出揃ってハードの価格が30000円を切る段階で普及台数を伸ばす可能性がある」と浜村社長はプレイステーション3について結論づけた。

▲ハイビジョンテレビの普及がプレイステーション3の市場を底上げする。ターニングポイントになるのは2009年から2010年だと浜村社長は予測する。


 日本ではいまひとつ地盤の弱いマイクロソフトのXbox 360については、「海外では圧倒的な強さを誇るだけに、最近ではマルチプラットフォーム展開を取るサードパーティーも多く、これから力を入れていくならXbox 360にもチャンスがある」と浜村社長は見ている。北米ではハードの販売台数が若干落ちてきてはいるもののソフトの販売本数は絶好調で、1台のハードに占めるソフトの装着率は4.5本と、ほかのハードに比べて圧倒的な高さを誇るのも強みだ。Xbox 360はそれだけ熱心なファンに支えられているということだ。全世界で400万本を超える販売本数を記録している『Halo 3(ヘイロー 3)』だが、発売後20時間で100万人以上のユーザーがオンラインに接続しており、Xbox 360に関しては「ハードで利益を上げられなくても、ネットワークで利益を上げるという発想ができているのではないか」(浜村)という。PCでゲームを遊ぶユーザーも増えており、PCやXbox 360のゲームがいっしょに遊べるLive Anywhereも実を結びつつある。「Xbox 360もじわじわと価格を下げて普及はさせていくでしょうが、ネットワークのダウンロードとPCビジネスで利益を上げる未来図を考えているのではないでしょうか」(浜村)というとおり、ネットワークという圧倒的な強みを武器に、マイクロソフト陣営は、Wiiやプレイステーション3とも違った、独自の道を歩み始めているようだ。


●2007年は過去最高の市場規模になる

 ニンテンドーDSやWiiの好調ぶりに後押しされる形で、過去最高のペースを維持している2007年度上半期のゲーム市場。2007年度上半期のゲームソフト推定販売本数を紐解いてみると、上位20本中18本がニンテンドーDSとWiiのソフトで(うち12本が任天堂のソフト)、任天堂のハードがメインプラットフォームであることがさらに明確になった。サードパーティーもニンテンドーDSやWiiへの取り組みで明暗を分けており、いち早くシフトしたスクウェア・エニックスやバンダイナムコゲームスは数字を伸ばしているという。以上の動向を踏まえ、2007年のゲーム市場は空前絶後の規模を誇った2006年を超える可能性があると浜村社長は最後にまとめた。これから年末商戦にかけて、さらに活況を呈するだろうゲーム市場に注目が集まるところだ。

▲空前絶後の市場規模だった2006年をもしのぐ勢いの2007年。今年の年末商戦はかなり賑やかなことになりそうだ。

▲各ハードそれぞれのテーマを持ちつつ、今後も展開。「ゲームの最盛期はこれからくると思います」(浜村)という。

▲セミナーではゲーム産業トピックスなどについても触れ、カジュアルゲームの躍進ぶりに言及。いま世界では2億人のカジュアルゲーマーがおり、2007年上半期の北米PCのカジュアルゲームの売上規模が、同時期の北米コンシューマー市場の売上の7パーセントにもおよぶという。エレクトロニックアーツやマイクロソフト、『グランド・セフト・オート』シリーズなどでおなじみのTake-Two Interractiveがカジュアルゲームに力を入れ始めているという。

▲セミナーでは、アクティビジョンの『ギターヒーロー2』のデモプレイが披露された。同作は世界で550万本の販売本数を記録し、アクティビジョンがエレクトロニック・アーツをしのいで、念願の北米据え置きソフトシェア、ナンバーワンを獲得する(2007年上半期)原動力になった。Xbox 360版のXbox LIVEでは、発売5ヵ月で65万ダウンロードを記録したという。



 

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