「病院勤務医の過重労働が指摘されているが、診療所医師(管理者)の勤務時間も、勤務医と同じくらいか、それ以上に長い」−。日本医師会は10月12日までに公表した「診療所に関する緊急調査結果」で、診療所医師が厳しい労働実態に置かれていることを明らかにした。
調査は、勤務医師の負担を診療所医師に転嫁し、さらに診療所医師の本来の診療の収益源を減じて、時間外に振り向けようとする動きがある中、診療所医師の診察時間や地域で担っている各種活動の実態を把握するために実施。札幌市・東京都板橋区・山口県・鹿児島県の一人医師医療法人立診療所や個人立診療所の開設者・管理者の計3,201人を対象に行い、1,461人から回答があった。
勤務時間を見ると、30歳代では診療所医師、病院勤務医ともにほぼ同じだったが、40歳以上では診療所医師の方が勤務時間の長いことが分かった。また、学校医・産業医等、救急対応、介護保険、行政・医師会等、地域行事などの地域医療活動では、40歳代が週3.9時間、50〜60歳代では週4.3時間に及んだ。救急対応では、30歳代から50歳代で週2時間以上だった。
業務の負担については、診療所医師の48.1%が5年前に比べて「(負担が)増えている」と回答。負担増を感じる医師の比率は、年代が若いほど高く、50歳以下では半数を超えている。その背景としては、「診療外業務(事務作業など)が増えた」ことを挙げる医師が73.0%に上り、最多。「インフォームド・コンセントに費やす時間が増えた」も半数以上に及んだ。
日医は「病院勤務医師の過重労働が指摘されているが、診療所医師の勤務時間も同じくらいか、それ以上に長かった。加えて診療所医師は診療時間外にも、さまざまな地域医療活動に取り組んでいる」と指摘。一方で「書類作成等の事務作業やインフォームド・コンセントのように、近年、比重が高まってきた業務への評価も必要である」と、診療報酬上の評価を要望している。
更新:2007/10/12 キャリアブレイン
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