田原本町の男性(当時82歳)が入れ歯を飲み込んだのを2人の担当医が見逃したため肺炎で死亡したとして、妻ら遺族4人が、担当医の勤務する病院を運営する医療法人「友紘会」と国保中央病院組合に計1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、奈良地裁(坂倉充信裁判長)であった。坂倉裁判長は「医師は異物の存在を見落とした過失がある」として、友紘会と国保中央病院組合に計15万円の支払いを命じた。担当医が入れ歯に気づかなかったことと、肺炎で死亡したことの因果関係は否定した。
判決によると、男性は02年10月13日午後3時ごろ、入所していた介護施設でおやつを食べた際、付けていた部分入れ歯を誤って飲み込んだ。その後、呼吸が困難になり、搬送された奈良友紘会病院と、転院先の国保中央病院で15日、各病院の担当医が胸をレントゲン撮影したが、入れ歯に気づかなかった。16日午後、たんの吸飲中に看護師が男性の口から入れ歯を取り出した。男性は同年11月5日に肺炎で死亡した。【石田奈津子】
毎日新聞 2007年10月12日