2007-10-11
■[ボクシング]試合予想
いよいよ、WBC世界フライ級タイトルマッチ、チャンピオン・内藤大助vs挑戦者・亀田大毅当日となりました。
改めて、大毅くんの名前をタイトルマッチの挑戦者として見ると違和感がありまくりですね。若干コント感すら漂わせています。試合自体は厳正に行われることを期待しています。
さて、普通に戦えば内藤選手の圧倒的攻勢の前に大毅くんが沈むシーンが想像できるわけですが、わずかな可能性であっても大毅くんが「勝つ気」でリングに上がるなら(というか、史郎さんが上げさせるなら)油断は禁物ですね。奇策を使ってくる可能性があります。ただ、奇策と言ってもそれ実行するだけのポテンシャルは必要なわけで、一部で噂される大毅くんのアウトボクシングはたぶんブラフでしかないと思います。ファーペッチノーイ戦で足を使ったシーンを見てもぎこちなさすぎますし、距離を空ければ内藤選手の変幻自在のフェイントが生きるし、主武器であるスイングが最も威力を発揮する地点で大毅くんに着弾することが予想されます。妙にボクオタ臭を漂わす史郎さんがそれに気がついていないはずはありません。
しかし、内藤選手のペースを乱すことを目的にしたラフな攻撃はおおいにありうるでしょう。個人的には反則すれすれというか、反則そのものを仕掛けてくるんじゃないかということを恐れています。内藤選手はとにかく平常心を忘れないで戦って欲しいですね。
一方、史郎さんに大毅くんを勝たせる気がなく、世界挑戦を花道にタレントに転向させる気なら「大毅の好きにやらせる」ということも考えられます。そうなった場合には果たして実力差がもろに反映される結果となると思います。大毅くんの得意な接近戦に持っていくことしか勝機はなさそうですが、キレのあるフットワークを持つ内藤選手がそう易々と付き合ってくれるとは思われませんし、距離がつまったところで内藤選手よりも大毅くんの方が優位とは決していえないからです。こういう試合になれば、このタイトルマッチを最後に大毅くんの姿は「世界ウルルン滞在記」などで見かけることになると思います*1。
逆に内藤選手は距離が開いてもつまっても、早い回でも遅い回でもいつでもチャンスはあると思います。記者会見では「勝ちにこだわる」という発言もしていましたから無理してまで倒しにいくことはないでしょうが、8ラウンドのオープンスコアで大差がついていても、逃げ切りに入るのは12ラウンドに入ってからでいいと思います。倒せるときに倒しておく方がリスクヘッジになるということもあるし、そう無理をしなくてもヒットを重ねていけば自然に相手は倒れると思います。
平凡な予想かもしれませんが、僕は早い回での内藤選手のTKO勝利を予想します。
デイリー凄!
http://boxing.10.dtiblog.com/blog-entry-411.html
(再びコメント欄開放しました)
■[ボクシング]試合結果
いやー、胃が痛くなるような試合でしたね。
初回、重心をかなり低くしてガードを固め、内藤選手にとにかく張り付いていこうとする大毅くん。これは言わば想定内の作戦でしたが、正直に言うと、ひょっとしたらビビってそんなに前へ出られないかも、と予想してた部分もありました。大毅くんのハートは僕が想像するよりも強かったみたいです。
こういうふうに距離をつぶされると内藤選手も思うようにパンチが出せないようでした。大毅くんのガードも意外と強固だったみたいで、まずはガードの外側からテンプルあたりを狙って攻勢をかけます。
試合が決まった時、僕は「しょっぱなからチャージを繰り返して泥仕合にし、見かけ上の「大善戦」を演出するんだろうな」*2とか「突進とクリンチを繰り返して見かけ上の「大健闘」を作り出すんじゃないでしょうか」*3と予想しており、序盤2ラウンドを見て実際にそういう展開になるかも、と危惧していました。しかし、3ラウンドからは開始すると同時に内藤選手が強引かと思えるほどテンポアップして攻勢をかけました。難しい試合になりそうなところで、強引にでもペースを握っていくところにベテランの上手さを感じました。ここまでほとんどガードしかできなかった大毅くんも応戦せざるを得なくなりましたが、そこでパンチを振ることがまた隙をつくる結果となり、クリーンヒットをもらい始めます。内藤選手はこの回から意識的にパンチを上下に散らし、技術の差を見せました。
ただ「クリーンヒット一発でも入れば大毅くんの心が折れるんでは?」なんて予想もしてましたが、温室栽培の大毅くんとはいえ、そこまで弱々しくはなかったみたいですね。どうもアンチ亀田の気持ちが強すぎて過少評価していたみたいです。しかし、あのクリンチされるたびに首をひねっていたのは何なんでしょうか?そういう面ではこれまでラクな試合しかしてきた分、ちょっとしたことで集中力を乱されるところがあるのかもしれないですね。
さて、内藤選手が3ラウンドに攻勢をかけてから大毅くんもそれほど前に出れなくなり、両者の間に隙間ができるようになりました。この「間」のおかげで内藤選手は大毅くんの動きをよく見てパンチを出せるようになり、ヒット率も上昇しはじめました。4ラウンド終了時の採点では3者ともに内藤選手を支持。
5ラウンドでは、採点の不利をしった大毅くんが若干手数(亀田のアラレを含め)を増やしますが、有効と言える攻撃ではありませんでした。逆にゴング間際にコンビネーションをまとめられる。しかし、大毅くんはこれでも弱気な顔を見せないのでやはり心身ともタフネスは立派なものがあると思います。内藤選手は戦前に「絶対に油断しないようにする」とは言っていましたが、温室育ちの大毅くんがここまで自分のパンチに耐えるとは予想していたでしょうか?
とはいえ、ペースは完全に内藤選手に傾き、ブロック一辺倒を捨てて大毅くんが打ち合いに出てきたことで、内藤選手のクリーンヒットが次々と当たる場面が多くなってきました。大毅くんも若干ダメージと疲労があるそぶり(特にボディーは嫌がってるみたいでしたね)を見せていたので、僕は6〜7ラウンドにはそろそろ終わるかな、とも予想していました。
大毅くんのオールバックが乱れて「ご乱心の若様」みたいになってきたのもこの辺りですね。
しかし、3ラウンドに大毅くんのパンチでカットしていた内藤選手の右眉からの出血が激しくなるや、ここに勝機を見出したのか、大毅くんの動きに再び活力が戻ってきました。いい意味で「これが若さか」という感じです。ほんとにボクシングって何があるかわからないですね。再び距離を詰めだした大毅くんに対して、内藤選手はやや当てにくそうにしていた感じがしました。
それでも8ラウンド時点の採点で内藤選手が断然有利。大毅くんは攻勢を強めますが、焦りからかチャージも多くなります。これに対して怒りをあらわにする内藤選手。9ラウンドにまず上からのしかかるようにされたことで怒声をあげ、その後には投げ飛ばされました。この辺りから試合に不穏な雰囲気が漂いはじめました。そして、ロープ際でもつれ合って倒れたところで内藤選手が大毅くんの後頭部をこづく行為に。なんと最初の反則は内藤選手ということになってしまいました。もう、ここで僕は胃が痛くなってしまいましたね。「ああ、もう酷いタイトルマッチになった」と。
試合予想では
しかし、内藤選手のペースを乱すことを目的にしたラフな攻撃はおおいにありうるでしょう。個人的には反則すれすれというか、反則そのものを仕掛けてくるんじゃないかということを恐れています。内藤選手はとにかく平常心を忘れないで戦って欲しいですね。
と、書きましたが、一番恐れていた事態ですね。相手の反則に取り乱さないようにすると心に決めていた内藤選手が冷静さを失ってしまうくらいですから、よっぽど頭にきてたんでしょう。しかし、反則は反則。この反則後もムキになってパンチを振るっているようにみえ、ちょっと怖かったです。
10ラウンドはもみ合いの多い展開でしたが、インターバルで宮田会長から「ワンツーでいい」というアドバイスをもらったことで効を奏して、11ラウンドには冷静な試合ぶりを取り戻したようでした。一方の大毅くん、体力の限界もあったのかもしれませんがもみ合いになれば内藤選手を引き倒すシーンがありました。実況が「つぶして時間をかせぐ内藤」と言ってたのはなんだったんでしょうか。僕の目には大毅くんが首投げをしかけていたようにしていたんですが…。
そして魔の12ラウンド――
このラウンド開始直後は大毅くんも気合の入った表情で打ち合いを挑み、9〜11ラウンドの胃の痛くなる展開を吹き飛ばす内容を期待させたのですが、開始30秒で再びもみ合い。ここでレフェリーが大毅くんに減点を与えると、完全に切れてしまったのか、再開直後に故意のエメラルド・フロウジョン……。もう俺吐きそう。再開後に今度は腰投げ。もうこれで反則負けでおかしくなかったですが、最終ラウンドだったこともあるのか、レフェリーは続行を許可します。反則負けなら反則負けで、後味はもっと悪かったかもしれません。その直後には内藤選手がチャージして押し倒し、完全に泥仕合の様相。そうした騒然とした雰囲気の中で終了ゴングが鳴りました。
リング上をのしのしと歩き回り、ファンを煽る内藤選手。コーナーに駆け上り雄叫びもあげます。そういう内藤選手の姿に野性的な魅力を感じたことも事実ですが、やはり先に反則を犯してしまったことやその後も冷静さをなかなか取り戻せなかったことは今後の反省材料となるでしょう。
12ラウンドに大毅くんに3ポイントの減点があったこともあって、判定には記録的大差がつきました。また、亀田三兄弟に初黒星*4をつけた功績も大きいものです。しかし、「国民の期待」はクリーンな内容で亀田家をやっつけることだったのではないでしょうか。そういう意味では失望がなかったといえばウソになるかもしれません。
もっとも内藤選手を暗黒面に落とすほどの亀田家のラフプレーと、そして彼らの人間性(の欠落)を褒めるべきなのかもしれません。僕もタイトルマッチという場であるべきかどうかはさておき、亀田家と日本のトップ選手は戦うべきだと思っていたのですが、今日の試合を見ると、「ボクシング界は亀田家に関わらないのが吉」と思わざるを得ません。内藤選手にはラフプレーに付き合ったことに対する苦言よりも「お疲れ様でした」と言った方がいいかもしれませんね。なんにしても、次男についてコミッションは何らかの制裁を加えた方がいいと思います。
1994年の薬師寺vs辰吉、2000年の畑山vs坂本とは明らかに別の次元に移行しつつある2007年のボクシング、という気がします。
これが最後のエントリになります。
この日記で最後に取り上げる試合がこういうふうになるのも僕らしいかな*5。
でも、きっと時が来れば帰ってくると思います。
さようなら。また来世!
2007-10-08
■[ボクシング][etc]二つの言葉
一つは(消してしまいましたが)前にも御紹介したことのある、WBA世界ミニマム級チャンピオン・新井田豊選手の言葉。
ボクサーって、一日一日やらなければならないことって決まっているじゃないですか。それを確実に、坦々とこなしていけば、そこまで苦労しないでうまくいくと思うんですよね。そこをひとつ怠ると、それがどんどんツケになって、試合で苦労するはめになるんです。だから俺は目の前にあることを坦々とこなしているだけです。
今日、御紹介したいのは元東洋太平洋スーパーフライ級王者で世界挑戦経験もある石原英康さんの言葉です(『ボクシング・ワールド』10月号の飯田覚士さんとの対談から)。
飯田 聞き辛いところからいこうか(笑)。世界初挑戦でマルティン・カスティーリョに逆転KO負け。ポイントも取っていながら、11ラウンドに倒された。
石原 無我夢中でしたから、倒しに行くとかではなかったです。ただそれまでのボクサーとしての道程が苦しかったので、この試合で、自分の負け犬根性も、卑屈な考えも、全部変えて生まれ変わろうとは心に決めていました。そして試合中にいくつか選択肢が出てきたら、苦しいほうを選ぼうと。
(中略)今でもあのころを思うことがあります。もう一度、2004年の5月16日の10ラウンドまで戻ったら僕は逃げ回りますよ(笑)。でも、現実に起こったそれが人生なのかなと思うんです。それを糧にどう生きていくか。カスティーリョが防衛していくのを見て複雑な気持ちでしたよ。でも、いつまでも引きずっていて、人の幸せを喜べないようではイカんなと。いまはもう自分の新しい人生を生きようと決意できてます、ハイ。
こういう日々の課題を坦々とこなしていくこらえ性も、あえて苦しい道を選ぶ気合も僕にはなかった。いつも楽な方へと逃げていったツケがそろそろまわって来たのかもしれません。
■[告知]謹慎
このブログ上で様々な人に励まされたばっかりなのに、またしても僕は自分の弱さに負けてしまいました。今回はギリギリまで粘ってもう少しで自分の弱い部分を克服できそうだったのに結局、間違っていると自分でもわかっている選択肢を選んでしまいました。
いまの僕には、ボクシングのことでもそれ以外ことでも、他人のことをあれこれ論評する資格はありません。
謹慎するため、このブログを閉じようと思います(アカウントごと削除します)。
ある方にはこのブログを指針としていただいていると、コメントをいただきました。また、その他にもごひいきにしていただいている方もいらっしゃいます。そして、皆さんに励まされ「がんばる」と自分の口で言った約束を反故にすることになってしまいますが、これは自分自身にけじめをつけるために必要なことなので、勝手ながら何とぞご容赦ください。
ただ、今すぐということではなく、10月11日の内藤大助vs亀田大毅の一戦の感想を書いて発表し、閲覧のための時間を設けてから消すことにしたいと思います(その余裕があれば、ですが)。
いずれ、真に自分の弱さを克服できたならば、またひょっこりネットのどこかに顔を出すかも知れません。その時はお声でもかけていただければ幸いです。
追記(10月9日)
以上のようなことを書くと、励ましてくださる方が絶対現れるということもわかっていました。僕は計算高いところもあるので。
ただ、詳しくは書けませんが、今回は僕の「弱さ」そのものというより、僕の「弱さ」によって引き起こされた結果の方が深刻なのです。この結果に対して僕は何らかの対応をしなければなりません。このことは誰が何を言おうと変わらないでしょう。
こういう状況で、他人をあれこれ論評することに心苦しさを感じるということがブログを辞める理由の一つでありますが、自己の保身をはかることも理由として挙げられます。ブログを辞めた方が僕にとって好都合なところがあるのです。
ですから、楽しみにして下さった皆様には申し訳ないのですが、何かトラブルでも発生しないかぎり、ブログは11日以降数日以内に削除することになると思います。
何卒ご理解くださりますよう、よろしくお願い致します。
それから、9月28日のエントリに何故か大量のスパムコメントが殺到しており、消すのも追いつかないほどですので、いったんコメント欄を凍結させていただきます。