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給付漏れ、推計2.8兆円 宙に浮いた年金 民主が試算

2007年10月12日00時25分

 基礎年金番号に統合されず、持ち主の分からない「宙に浮いた」年金記録が5000万件ある問題で、民主党の山井和則衆院議員は11日の衆院予算委員会で、宙に浮いた年金の給付総額が年間6兆6000億円にのぼる可能性があるとの独自試算を示した。このうち、実際の給付漏れになっている可能性がある65歳以上の分は2兆8500億円。試算は、社会保険庁がサンプル調査した150件のデータに基づくもので、政府は妥当性を疑問視している。

 今回の試算は、サンプルの件数が極めて少なく、様々な前提を置いた推計にすぎないが、山井氏は「目安の数字にはなる」と政府を追及。舛添厚生労働相は、試算の結果に疑問を投げかけつつも、より大規模なサンプル調査の必要性について「前向きに検討したい」と述べた。

 山井氏が試算の根拠にしたのは、5000万件のうち、コンピューター上に名前の記載がなかった厚生年金記録524万件から東京社会保険事務局が抽出した150件。保険料を納付した月数は1人あたり平均37カ月、保険料の平均額は4万7000円だった。これを単純に5000万倍すると、保険料の総額は2兆3500億円となる。

 一方、年金の給付については、国民年金でも納付月数が同じ平均37カ月あったと仮定すると、給付額は年間6万円。厚生年金では、5000万件の記録の持ち主の平均年齢(1942年生まれの63歳)を使って試算した場合、基礎年金部分も含め、年間15万円となるとした。

 これらの金額を、5000万件の内訳(厚生年金3966万件、国民年金1129万件)にそれぞれ単純に掛け合わせると、年金総額は6兆6000億円になる。

 年金給付には税金の補助もあるため、保険料総額と比べると3倍近くとなった。

 ただ、この中には、まだ年金の受給年齢に達していない現役世代の分も含まれている。5000万件のうち、実際に給付漏れになっている可能性がある65歳以上の2315万人の年金総額は年間2兆8500億円、60歳以上では3兆6000億円となる。

 この試算に対して、舛添厚労相は「サンプルは東京のわずか150件だけで、他の地域と比べたらどうか。(サンプルに含まれていない)国民年金の額も細かい計算が必要だ。実際の額がこれより多いか少ないか分からない」と指摘。保険料を支払った期間が25年間未満で、受給資格をもっていない人の記録や、厚生年金の脱退一時金をすでに受け取っている人の分を差し引いていないことなどを挙げ、試算の妥当性に疑問を投げかけた。 また、年金問題だけでなく、障害者自立支援法について、山井氏は現行法の付則で定められている施行から3年後の見直し規定にかかわらず、早急な抜本見直しを要求。福田首相は「付則に書いてあることに限らず、制度全体を見直したい」と答えた。

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