芋煮会バス、フル稼働 飲酒運転厳罰化に対応 宮城
| 無料送迎バスに乗り込む芋煮会の客=仙台市の地下鉄泉中央駅付近 |
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東北の秋の風物詩、芋煮会で、会場となるビール工場やレクリエーション施設が送迎バスを運行し、利用客に好評だ。芋煮会にアルコール類は付きものだが、改正道路交通法が9月に施行され、飲酒運転の罰則が強化されたため。酒を提供した会場側も処罰対象となることから、送迎を無料化するなどしてPRに躍起になっている。
キリンビール仙台工場(仙台市宮城野区)内のレストラン「キリンビアポート仙台」は、9―10月に催す芋煮会の客を2002年から無料送迎している。今年9月の利用者は約1300人と前年同期より1割増え、客全体の5分の1を占めた。
当初は月500―700人にとどまったが、飲酒運転に対する批判が高まり、利用者が増加した。「特に今年は飲酒運転の厳罰化で、利用増に拍車が掛かった」(同工場)という。
送迎対象は原則7人以上の団体客で、客の希望地と会場の間にバスを走らせる。芋煮の具材が有料でそろい、手ぶらで行ける気軽さも受け、4台の送迎バスがフル稼働している。
泉高原スプリングバレースキー場(仙台市泉区)も9―10月、芋煮会やバーベキューを開き、無料送迎を行う。週末は地下鉄泉中央駅の近くから会場までバスを一日2往復させる。主に団体客が利用し、今季は予約でいっぱいだという。泉区の会社員男性(40)は「グループ全員で酒を楽しめるため重宝だ」と歓迎する。
改正道交法は飲酒運転の車による死亡事故が多発したのを受け、酒気帯び運転の法定刑を3年以下の懲役か50万円以下の罰金、酒酔い運転は5年以下の懲役か100万円以下の罰金に引き上げた。ドライバーに酒を出した飲食店も最高で懲役3年か罰金50万円を科す。
スプリングバレースキー場を運営する泉高原は「以前は芋煮会で酒を飲み、車を運転して帰る人もいたと思う。絶対に許されることではなく、送迎サービスは酒を伴う催しを営む上で不可欠になっている」と話した。