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2007年10月11日

【ヘルスハイライト】MRI造影剤が致死性腎疾患のリスクを高める



 腎性全身性線維症(NSF)と呼ばれる腎疾患の死亡率が高いことが、米国の研究グループにより示され、医学誌「Arthritis & Rheumatism」10月号で報告された。MRI検査で使用される造影剤の一種、ガドリニウムへの曝露がNSF発症の危険因子(リスクファクター)となることも判明。NFSは近年新たに特定された疾患で、皮膚が厚く、硬くなり、腕や脚をはじめ内臓が侵されることもある。急速に進行し、数週間で動けなくなり車いすが必要になる患者もいる。

 米マサチューセッツ総合病院(ボストン)のJonathan Kay氏が率いた今回の研究では、腎臓透析患者186人を対象に皮膚の検査を実施。25人にNSFの症状と一致する皮膚病変を認めた。2年以内に、186人中45人(24%)が死亡。NSF患者の死亡率が48%であったのに対して、NSFではない患者の死亡率は20%であった。また、ガドリニウムに曝露した患者の30%がNSFを発症したのに対し、曝露していない患者の発症率は1%であることもわかった。

 この研究は、透析患者のNSF有病率を示し、NSFとガドリニウム曝露との相関を定量化した初めてのものだという。慢性腎疾患のある患者にガドリニウムを含有する造影剤を使用するときは、細心の注意が必要であると研究グループは指摘。ガドリニウムに曝露した場合は、その後、定期的に皮膚検査を受ける必要があると述べている。

 米エール大学(コネチカット州)医学部の専門家らによると、米国政府の公衆衛生勧告では、腎疾患患者のMRI検査について注意を促すとともに、ガドリニウムを使用してMRI検査を受けた患者は直ちに透析を受けることを勧めているという。(HealthDay News 10月5日)





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