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自動改札機の開発に携わった兵庫県立大教授 白川 功さん 68

米学会で表彰 関西発 今や全国2万数千台

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撮影・大西健次

 「こんなに普及するとは夢にも思いませんでした」――。40年前、日本で初めて阪急・北千里駅に導入されたパンチカード式定期券の自動改札機は、磁気カード、ICカード対応へと進化し、今や全国で2万数千台を数える。大阪大学、近畿日本鉄道、オムロン、阪急電鉄が開発した初期の自動改札機が11月、社会進歩への貢献に対し米国電気電子学会(IEEE)が贈る「マイルストーン」賞を受ける。東海道新幹線などに次ぎ、日本で7件目だ。

 開発にかかわったのは、阪大大学院で電子工学を専攻していた25歳の時だ。ラッシュ時の混雑解消を目指す近鉄が持ち込んだ相談を、「助教授から『やってみ』と任された」。「定期券の通用区間内ならどこでも乗り降りできるようにする」という難題を、簡単な計算式で解決した。これが、システムのデータ処理の心臓部となった。

 学生のころから産学連携に着目し、企業の設備を利用して研究した。阪大教授時代は大規模集積回路(LSI)の権威として大学発ベンチャーの設立にもかかわり、「行動する学者」として知られる。

 自動改札機は、1970年の大阪万国博覧会を控え、元気があふれていた関西が生んだ代表的発明だ。2004年に移った兵庫県立大でも、「今は何でも東京を気にしすぎや。関西には世界一のモノを作る、ええ遺伝子があるんやから」と、若い世代の背中を押し続けている。

(経済部 戸田博子)
2007年10月10日  読売新聞)

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