2007年10月12日(金)「しんぶん赤旗」
産科救急
19府県が不十分
主因は医師・病床不足
四十七都道府県のうち、産科救急の搬送システムが十分機能しているのは半数にとどまり、約四割に当たる十九府県で救急患者を十分に収容できていないことが、日本産婦人科医会の調査で分かりました。主な理由は、産科医と新生児集中治療室(NICU)不足でした。
奈良県橿原市の妊婦が救急搬送先が決まらず死産した問題を受け、同会が九月、各都道府県支部に緊急調査しました。
搬送システムは四十四都道府県で整備されていますが、「機能良好」は二十四道府県にとどまっています。十八都府県は機能していますが不十分で、未整備の三県を含む五県が「機能不良」としています。
救急患者の収容が十分に行われているのは二十八都道府県で、「十分でない」とこたえたのは十九府県にのぼります。
搬送システムが良好に機能しているところでは、「十分収容」の割合が九割を超えています。これに対し、機能が不十分なところでは約三割、機能不良のところでは約二割と、システム状況が救急患者の収容に大きく影響しています。収容が不十分になるリスクはそれぞれ約三十倍、四十倍にものぼりました。システムのない三県では不十分な収容状況でした。
収容が不十分な県では、産科医師不足が深刻で、ついでNICU不足がその要因にあげられています。収容が十分な県では、現場医師の努力やNICU、産科医の充足、システムの良さが良好に運営される要因にあげられ、対照的な結果となりました。
同会は、搬送システム未整備や機能不全の県支部の状況改善に努めるとともに、行政側には収容状況にかかわらず、産婦人科医師の報酬・待遇の改善や増員対策、現在一〇〇〇分娩(ぶんべん)につき二病床の割合で配置されている新生児集中治療室の増床、システム整備などが求められるとしています。