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園児やーい 開園半年、まだ16人 羽田空港保育園

2007年10月11日

 羽田空港第1ターミナル3階、目の前に広がる滑走路から飛び立つ飛行機に園児らが手を振る。4月に開園した東京都認証の保育園だ。しかし、園児は定員60人に対して16人。保護者と園に補助が出る認証の取得が開園間際にずれ込んだのが響いた。園は午前7時から午後11時まで利用でき、防犯態勢も万全。空港自慢の施設だけに、園側はPRに懸命だ。

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園児らは飛行機に「ジャル」「アニャ」などと呼びかける=羽田空港内の「アンジュ保育園」で

 「羽田空港アンジュ保育園」。出発ロビーの北端から専用エスカレーターで3階へ。暗証番号の入力が必要な職員専用口から通路を進む。入り口では中からロックを解除する。7台の防犯カメラもあり、「世界一のセキュリティー」を自負する。

 室内は、約710平方メートルの空間に、人工芝の室内庭、ランチ部屋、図書コーナーなどがあり、0〜1歳児部屋は床暖房も完備。専用の屋外遊戯場は約200平方メートルの人工芝で、滑り台や砂場もある。

 月決めの定員は60人、一時保育は20人だが、月決めの園児は0〜4歳の16人にとどまっている。航空会社、空港ビルの管理会社などで働く社員らの子どもたちだ。対する保育士は10人いる。

 園を運営する民間の「アンジュ」は、空港従業員に限った無認可の事業所内保育所ではなく、一般客や住民も利用できる認証保育所にこだわった。認証を得ると、保護者には園児1人につき月1万円の補助が出るほか、園にも運営費が補助されて料金を3万円以上安く設定できる。しかし、駅から徒歩5分以内などの条件を満たすのに手間取り、認証を取得したのは開園2日前。様子見をしていた保護者を取り込むには遅すぎた。

 それでも同社は、潜在的な需要は高いとにらむ。羽田空港で働く人は約3万5000人。3年前に2000人に調査したところ、90%以上が保育園設置に賛成し、入園希望者も約100人いた。

 早朝深夜の勤務に合わせ、年中無休とした。料金も、月に180時間の場合は、0〜2歳児が6万5千円、3歳児以上は6万3000円という具合に設定。一時保育は2時間で5000円とした。

 東京空港事務所の管制官、藤川宏さん(44)=江東区=は三男の要ちゃん(2)を預ける。「場所も環境も最高。ここがないとどうしようもない」。ただ、「やや高いのでお兄ちゃん2人も一緒は無理」という。

 園では、まずはPRが必要と、空港内の事業者への広報、法人向け福利厚生雑誌への掲載のほか、日帰りの法事や旅行の際に一時預かりする計画も旅行会社と練る。北島達也社長は言う。「空港は凝縮された一つの町。需要は必ずある」

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