常勤医1人が入院加療で12日から不在となる関市洞戸通元寺の洞戸診療所では、代理派遣医師による診察が行われている。医師不足を補おうと、同市が県へき地医療支援機構に派遣を申請した。常勤医が復帰するまでの約2カ月間、県総合地域医療センター(岐阜市野一色)と中濃厚生病院(関市若草通)の医師が日替わりで診察を行う。同市は「患者に不安を与えないようトラブルなく乗り切りたい」としているが、限られた医師でやりくりする地域医療体制の厳しい現状が浮き彫りになった形だ。

 同診療所は、洞戸地区唯一。今回、入院加療する整形外科、内科、小児科を担当する医師と、歯科医師の計2人が常駐し、診察・往診に当たっている。洞戸地区の住民だけでなく、同市板取地区、美濃市、山県市から年間延べ約2万人の患者が通院している。

 同機構は、県が地域医療体制の強化を目的に2003(平成15)年12月に設立。出張や突発的な病気などで医師が不足する際、同センターや県が指定する地域ごとの拠点病院から代理医師を派遣する。しかし、診療所を管轄する自治体の財政難や拠点病院自体の医師不足もあり、同機構の活用は少ないという。

 同市は、今回の派遣医師確保のために約135円を負担しているが、「毎日地元に医師がいてくれることで、住民の皆さんは安心して生活できる。お金がかかっても地域の医療サービスが低下しないよう、現場とともに対応していく」としている。