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2007年10月12日

 富山のえん罪事件を機に、取り調べを録音・録画する「可視化」論議が高まっている。密室での自白強要を避ける「監視カメラ」の役目である

先ごろ、検診で胃カメラをのんだ。その折、医師から「夢のカメラ」の話を聞いた。カプセルに内蔵できる超小型カメラが開発されたという。コードの先のカメラを口やお尻から入れるいまの内視鏡は、検査の範囲が限られている。カプセルカメラは、薬を飲むように口に放り込めばいい

口から入ったカメラは消化器官を通って内部をくまなく撮影し、やがてお尻から回収される。その間、ベッドに寝ている必要もない。感心して聞いていたら、「医者は大変だよ」とクギを刺された

いまの検査は、医師が内視鏡を操作し、撮影する。が、カプセルカメラは自動的に撮影を続けるため、画像は途方もなく増える。それを読み取る時間と手間、病巣を見落とすまいとする集中力もいる。新技術を生かすも殺すも、医師の眼力次第なのである

えん罪を防ぐ「監視カメラ」にも、同じような労力に加え、映像に作為がないかを見抜く眼力もいるだろう。その覚悟がなければ、話はきれい事で終わる。


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