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パロマ製CO中毒死で前社長らきょう書類送検 不作為の過失で
パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、警視庁捜査1課などは、業務上過失致死傷容疑で、同社の小林敏宏前社長(70)と鎌塚渉前取締役品質管理部長(57)の幹部2人を12日に書類送検する方針を固めた。前社長らには事故情報を把握しながら抜本的な対策を講じなかった不作為があったと判断した。湯沸かし器の安全装置を不正改造した東京都目黒区のパロマサービスショップ元作業員(60)は既に死亡しており、被疑者死亡のまま同容疑で書類送検する。
製品に起因した事故でメーカートップの刑事責任を追及するのは極めて異例。今後の各メーカーの安全対策に影響を与えそうだ。
調べでは、小林前社長らは自社製品によるCO中毒事故が相次いで発生していたことを認識していたが、製品回収などの事故防止策を怠り、平成17年11月28日、港区南麻布のマンションで大学生、上嶋浩幸さん=当時(18)=を死亡させ、上嶋さんの兄(27)にもCO中毒の重症を負わせた疑い。
パロマ製湯沸かし器による事故は昭和60年以降、上嶋さんのケースを含む計28件21人が死亡。多くは安全装置の不具合で点火不良となり、応急措置として修理業者による安全装置を経由しないよう配線を入れ替える不正改造が横行していた。
小林前社長ら幹部はこれら事故の大半を発生直後に「品質管理部」を通じて報告を受けていながら、修理業者に改造禁止を呼びかける文書を配布したり技術講習会で注意を呼びかけただけで、機種の緊急点検や回収を行わず、再発防止策を検討した議事録なども残っていなかった。
上嶋さんの事故は一連の事故のうち、公訴時効(5年)を迎えていない唯一のケースだった。元作業員は上嶋さん宅の湯沸かし器を7年12月に安全装置を経由しないよう不正改造していた。