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北への人道支援を検討 拉致再調査を条件に 政府

2007.10.12 01:40
このニュースのトピックス北朝鮮拉致事件

 政府は11日、北朝鮮が日本人拉致被害者の再調査などに応じた場合、北朝鮮の水害被害に対する人道支援に踏み切る方向で検討に入った。南北首脳会談などで北朝鮮の金正日総書記が福田政権との交渉に前向きな姿勢を示す中で、「対話」のためのカードを確保する狙いがある。政府は北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の日朝国交正常化作業部会を早期に開催するよう求める方針だ。

 水害への人道支援は、北朝鮮で水害被害が発生した8月末、安倍政権下で検討されたが、9月上旬にモンゴル・ウランバートルで開かれた日朝作業部会で拉致問題に具体的な進展がなく、実施を見送った経緯がある。

 その後、北朝鮮との対話を重視する福田内閣が発足し、先の南北首脳会談で金総書記は「日本は福田康夫首相に代わったので、今後の日本の政策を見守る」と発言。政府内には「拉致問題は解決済みとしてきた北朝鮮の姿勢に微妙な変化がうかがえる」(外務省筋)との期待が高まっている。

 政府は、北朝鮮の核実験に対する日本独自の制裁措置は継続する一方、人道支援を緊急措置として行う余地を残すことで、拉致問題での北朝鮮側の譲歩を引き出したい考えだ。

 政府は平成16年5月の日朝首脳会談で、人道支援として北朝鮮への25万トンの食糧支援を表明、金総書記は安否不明の拉致被害者について再調査を行うことを約束した。しかし、北朝鮮側は再調査で生存者はいなかったと主張。同年末には北朝鮮が拉致被害者、横田めぐみさん=拉致当時(13)=のものとして提供した「遺骨」が偽物であることも判明し、政府は未実施分だった12・5万トンの支援を凍結した。

 今回の人道支援は、日朝首脳会談の際に合意した食糧支援とは異なり、災害援助として行い、国連世界食糧計画(WFP)を通じて実施額などを調整する。北朝鮮側の再調査が前回同様、「ゼロ回答」で終わる可能性もあるが、北朝鮮側の環境変化に加え、「北が再調査を約束するなら、その中で、具体的なことを求めていける」(政府関係者)として、拉致問題を進展させる契機になりうるとの見方が浮上している。

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