旭川医大(旭川市、吉田晃敏学長)は11日、08年度から医学部卒業後2年間、大学病院で臨床研修を受ける研修医20人に対し、研修終了後の原則2年間、指定した地方病院に勤務することを条件に月額20万円の研修資金を支給すると発表した。地方の医師不足対策として導入する新制度で、月額約30万円の研修医給与に20万円を上乗せする。
地方の医師不足の背景には、04年度から2年間の臨床研修が義務化され、医学部卒業生の多くが都市部の民間病院で研修を受けるようになったことがある。大学病院に残る研修医が減り、人手不足となった大学病院が地方病院に派遣していた医師を引き揚げる悪循環も起きている。同医大でもかつては学生の半数が研修医として大学病院に残ったが、07年度は1割の10人に激減している。
そのため同医大は新制度の導入によって大学病院の研修医を増やすとともに、地方で働く医師の育成につなげたい考え。道内の大手パチンコチェーン「太陽グループ」(札幌市中央区、東原俊郎社長)が寄付する1億円を当初2年分の元手とし、その後も同社の寄付を中心に継続する予定。
太陽グループはこのほか、レントゲン画像転送などによる遠隔医療システムを道内10カ所に整備する資金約3000~4000万円と、退院患者向けの在宅医療機器購入資金も同医大に提供する。【真野森作】
2007年10月12日