がん治療に関して幅広い知識、技術を持つ医師を認定する「がん治療認定医制度」の申し込み登録が、わずか1時間で受け付け定員の1100人を突破した。キャンセル待ちも2000人を超え、運営する「日本がん治療認定医機構」(理事長、今井浩三・札幌医大学長)は「対応を検討したい」と説明している。
国内ではこれまで、学会ごとにがん専門医を養成していた。しかし、がん治療全般について横断的な知識を持つ医師の養成は十分ではなく、よりよい治療や信頼できる医師を求める「がん難民」を生む一因ともなっていた。
がん治療認定医制度は、こうした状況を解決し、患者が全国どこでも一定水準のがん治療を受けられるようにすることが目的。日本癌学会など4団体が協力して新設された。登録後に、来年1月のセミナーと試験を受け、合格者が認定される。
受け付けは10日午前0時、インターネット上で始まったが、約1時間で定員を突破。それ以降は自動的にキャンセル待ちに回された。同機構には、医師から約160件の苦情が殺到。「全国で一定水準の治療と言いながら、認定の機会が公平でないのはおかしい」「来年は留学するので、何とか受けたい」などの声があるという。【須田桃子】
毎日新聞 2007年10月11日 東京夕刊