1978年のプロ野球・ドラフト会議で起きた「空白の一日」の騒動をめぐり、当事者だった江川卓氏(52)と小林繁氏(54)が、28年ぶりに“お酒”で和解した。球場などで顔を合わせても会話を交わすことのなかった因縁の2人が「黄桜」のCMで初共演。前代未聞のドキュメンタリー形式で、11日からCMはオンエアされる。
あの日から28年…江川氏は悲願がかない巨人に入団し、小林氏は身代わりで阪神に移籍し、ともに引退した。9月上旬、都内のスタジオ。入るルートも別々にし、本番まで2人が顔を合わせないようにした。プロ野球を揺るがせた“大事件”の当事者同士が、話をするのは初めてという。
小林氏「お互い避けてたんかな?」
江川氏「え〜…」
小林氏「俺もしんどかったけどな。2人ともしんどかった」
江川氏「そうですよね」
杯を差しつ差されつ、約3時間、2人は話した。トレード後に都内のレストランでニアミス。その際に江川氏があいさつしようと近寄ると、謝意をくみ取った小林氏は「いいよ、いいよ」との思いで片手を挙げ、遮ったという迫真のエピソードも明かされた。
トレード2年目の8月16日に2人は後楽園球場で初対決。雨中のマウンドで投げ勝った江川氏は「負けたらやめようと思っていた」ことも告白した。
関係者によると、CMは広告代理店幹部と黄桜の松本真治社長が酒席で盛り上がり、企画が決まった。担当者が「ダメもと」で江川氏に打診したところ、「小林さんがOKなら」と予想外の返事があり、とんとん拍子に話が進んだという。球史に残る対談は今後、CMの続編で明かされていく。
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