シェフのひとりごと

日記とレシピ
この発言に全く責任は持ちません‥
前々から移転というか、他の場所で店をもとうと思ってはいた。

やっぱり、都内か、パリのはずれの方とかもいいかな、なんて
思っていたが、なんと言っても先立つものが無い‥

まぁゆっくりゆっくり考えてカイユなみの小さな店を一人でやって
それが料理人としての最後のステージだな、と思ってた。

私にとってフランス料理は全速力で走っているようで、
そう長く続ける事は無理、少しでも気を抜くととたんに
完成度が崩れてしまう気がする。

カイユでは毎回違う食材、イコール同じ料理は作らない
というのがポリシーで三年でおそらく二千種類くらいは
料理を作った。
もっとも自分の腕が日々上達しているのなら、当然
昨日より明日のが、完成度の高い料理は作れる。

けれど、そんなの何時までも続かないし、そのうちネタ切れ
になる。

そしたら今までのスペシャリテだけやっても三年くらいは
店が成り立つだろうから、あと三年がんぱろうと思った。

その後は房総の海の近くで、居酒屋かラーメン屋、
パスタ屋でもいい、少し気楽に人生を送ろうと思っていた。

ゆっくりゆっくり次のステージを探していたところ、
事件が起こり、カイユ一人体制‥‥

あの事件で本当に考えさせられた。
と、言うより追われる日々‥逃げられない現実‥
で考える事も出来ないくらい余裕がなかった。

しかし、なにがいけない、なにが悪い。
そもそも心のどこかに人を頼っていたんだろうし、
若干でも楽を望んでいたのかもしれない。
もっともっとストイックに生きていれば
こんな事位で窮地に立たされたりはしない。
そう、自分が悪いのだ。

房総にいるときに比べれば生活出来ている
だけ幸せだし、ボディガードやってる
時みたいに本当に命がかかってるわけじゃない。

なんせ料理が出来る。

心のどこかに甘えがあったんだろう。

三年目からのカイユは、自分で思うに
まさに神がかっているように成長したと思う。
自分の料理に対する感覚も新たになった。

きっと人間やってやれないことなんて、あんまり無いと思う。
途中でにげないで最後までやってみることが必要で
結果をのこすのが大切。

若い時って恥知らずだからいろんな夢みたいなものがあるけど
社会にもまれ現実を知るとそんなものは恥であって
もう夢なんてなんもないし、夢を語れば、それは馬鹿と思われる。

大体夢なんてもんは、妄想にすぎないし、夢は夢だから現実
じゃない事の表現なのだろうか。

今現在この歳で夢なんて無い。
そういえば私の場合若い時から夢なんて幻想は持っていなかった。

昔からだが、周りからは自由人的に思われていたが、それは別に
自由なわけではなく社会に順応してないだけだと思う。
自由じゃ食っていけねー。

一人になってから強く思い出したのが夢ではなく、
現実、そう目標である。

闇雲にストイックになっても駄目。
目標が大事。

料理が美味しいと言われる事‥
それはプロならば当たり前。

金持ちになる‥
だったら料理人なんてならない。

有名になる‥
タレントじゃあねぇ。


私の目標は、
その時の自然と人との力で獲られた世界最高の食材で
フランス料理という調理法で人の心を動かす料理を作る事。
それには、最高の空間と、最高のサービス、最高の時間
というものが土台に必要。

そう、今はそのステージを作るのが目標である!
いわば世界初個人経営的・グランメゾン!なーりー

企業の出資もなく、誰にもうるさい事は言われず
シェフの赴くままシェフの感性だけを追って!
もう、金の事など考えず、細かい制約などなく
やりたい事全部やってやる!

お客さんも、高いだの安いだの関係なく、
その価値と、本当にそのひと時を楽しむ
価値観がある人だけでいい。
全ての人に理解されるなんて事は無理なんだし。



所詮社会に順応してないんだし、今さら世の中のレールや
ゆっくりぬるま湯につかる人生なんて無理。

どうせなら自分を信じて、この時代にこのシェフの料理!
って残せる位になる。

最高のレストランをつくる。

それ全部含めて・目標!
ん?目標じゃあねぇな‥目標って曖昧だな‥

そう!スケジュールだな、人生のスケジュールだ!
うん、しっくり来た。

よし、グランメゾンだ!先立つものはなんもないが
やったるで、グランメゾン!

馬鹿だ馬鹿!と思っている奴もいっぱいいる
そんなの無理だ!とあざ笑う奴もいっぱいいる
こいつは本物のアホだと苦笑もされる。

いいのです。
わたくし社会に順応しない一匹狼なんで
全く気にしません。


C`est La Vie それが私の人生‥

かんたらうさーん!



ぼちぼち日本をとりに行きますよ



でも、もし仮に本当に実現したら、このブログは
伝説だな!

まずは五百円玉貯金からね。






| chef | シェフの日記 | 23:59 | - | - |
カイユの華?
カイユの華?

華‥花‥、美しい花には棘‥毒‥がある‥‥

花は好きですが、カイユにはもうひとつ花がある‥

そう、女性陣‥‥‥‥‥

もちろん常連さんはほとんど一人客。
ほとんど男‥てなわけでもなく、素敵な女性達もたくさんいる。

みんなふらっと来て、ひとりご飯を堪能したり
その時いた常連同士で和気藹々ともりあがったりしてる。

自慢ではないが、また、これ結構な美人さんぞろいだ。

もともとプティカイユという名前、どんな意味?よく聞かれた。

小さいウズラですと言っていたが、本当の意味は諺みたいなもん。

おしゃまなお嬢ちゃま、そのお嬢ちゃんが背伸びして舞踏会へ、
本当の大人の紳士ならば、たとえ相手がお嬢ちゃんであろうと
ちゃんとレディとしてエスコートし踊らなければいけない。
そんな優しい懐の大きいダンディーなシェフ。
そしていつでも温かく心休まる店。

私には全く無い部分‥自分への戒めのためにつけた名前が
プティカイユ。

カイユで一番古い女性常連はなかでも最年少!
当初はまだ二十代半ばだったか、始めはワインも
飲めなかった娘だが、いつだったか冬の深夜、たしか
小雨まじりの寒い時、ふらっとたちより、いつもとは
違う少し疲れた表情。
言葉にはださないが、きっと嫌なことや、辛い事があったんだろう。

温かいスープを口に運んだとき、表情からは笑みがもれていた。

その時、これが俺の求めてるプティカイユだと思った。

うん‥いい話だ‥‥





そう、特に若い女性には、すこぶる優しいシェフリーニョだが、
そうでもない方にはすこぶる冷たい‥

なんて強気な発言も今だから出来る!

いやいや、みなさんとても若くて美しいですが‥

早い時間によく来る常連の美女は、とても品がよろしく、
話していても、とても安心する。たまに毒づくが‥

深夜にぞろぞろ集まる美女達は、始めは大人しいのだが
一人、また一人と集まるごとに天下無敵になっていく。

独断演説をする美女‥
小説から音楽、はては戦艦まで‥まさに広く浅く
雑学知識の宝庫だろうが、さすがに戦艦や戦車までとは
世の男子はどんびきだぞい‥


べろべろになるまで飲まないと気がすまない美女‥
夕方から朝まで飲む‥調子にのるとカイユのオナー
とか言ってまわりの客に挨拶してご機嫌になる
大丈夫、誰も本気にしとらんぞい‥


カルパッチョばかり食う美女‥
一年中かるぱっちょ‥毎回かるぱっちょ‥
裏ではみんなカルパッチョと呼んでるぞい‥


そして、最後の酒のつまみは俺か‥

それでも、店が終わってみんなで飲んだりしてるときは
楽しかった。

いい思い出だ。
多分‥


みんな、もうカイユは無いんだから、あんまり醜態さらさないでね!
他の店に迷惑かけないでね!

シェフからのお願いだよ!

くれぐれも文句のメールはださないで下さいませ。
| chef | シェフの日記 | 14:33 | - | - |
そういえば
そういえば

カイユを閉めてからホームページにいろんなメールが来る。

励ましのメール、有難うございます。
共感のメール、うっうう‥ありがとぉ
問い合わせのメール、すんません‥
批判のメール、うっさい。
出会い系のメール、うざい!

そんな中、常連で一番の若手のササからのメール。

最後の日、貸切の張り紙を見て、すごすご帰ったらしい。

大抵の常連は、入り口の電気が消えていようが、看板が
閉まってあろうが、それこそシャッターが閉まっていようが
普通に入ってくる‥それがカイユなのだが、というか看板も
出してないし、電気さえ消しているのだが‥

まだ二十代半ばのササはピュアな心の持ち主なのか、
そまってないのか、張り紙を見て入店できなかったわけだ。

あのとき図々しく入店していれば‥と、悔やんだ様だ。

この男始めは深夜に一人ぽつんといきなり来た。

たまたま、深夜部隊の常連である女性陣に囲まれ、いいオモチャに‥
この女性陣達、今だから言えるが、それはそれは凄いもんで、
この世の世界とは思えない程おぞましい光景が‥‥
なんて、半分ほんとで半分ウソでつが‥



しかしそれからも、毎週めげる事なく、くるようになった。

若いのでそんなに金銭にも余裕があるわけではないのに
かならずその日の極上の一皿を食べる。
日によっては、一皿一万近くするものもあるのだが、
それでも一人目を閉じてもくもくと堪能している。
それが楽しみで一週間頑張って仕事が出来る、とまで言っている。

こんな若い奴が、こんな事言ってくれるなんて
世の中捨てたもんじゃないね。





そんなササ、メールには、突然、何故‥閉めちゃったんでか、なる用件。
それと、近所に出来たメイドカフェに行こうと約束したのに‥と

そ、そうか、そっちか‥そういえばメイドカフェなるところにつれてってくれって
言ったな‥と、言うことでイザ出陣!
ところが、なんと、メイドカフェも閉店してしまった‥ピンチ。

しかし、さすがササ、今度はコスプレ居酒屋なるものを発見!

そそうか‥ササ‥そんなに萌え萌えか‥

よし!いったるわい!一匹狼近藤シェフ、本当の狼になったるわい!

ところでササ、俺はコスプレして行かなくていいの?

や、やめてください‥みんなひきますよ‥

あぁそうか、客はコスプレしないのか、勘違いしてました‥

てことで、オタクササと二人で仲良く待ち合わせすることになった。



当日‥台風で雨ざんぶり‥

‥‥ササ‥雨ひでぇからさ‥シャンパンでも飲みいこ‥

‥はい、シェフ‥

そういえば、記念にカイユの看板ほしいとか言ってたな。

やる。

勝手にもってけ!
| chef | シェフの日記 | 14:30 | - | - |
突然の閉店 真相?
突然の閉店の真相

2007/06/29金曜

突然の閉店。


今から三年ちょっと前、船橋の商店街に小さなレストランプティカイユを出した。

カイユを出店するにあたっては、それはそれはいろんなことがあった。

もちろんそれなりに経験は積んでるし、腕にも自信はあったが、
なんせフレンチ‥時代に逆向している。

カジュアルなイタリアンとかなら、まず間違い無いとは思いつつ
正統派フレンチ‥しかも予算の都合でレストランというよりは
場末のバーの様な内装‥全てが不安だらけのスタート。

さらに運転資金などの余裕など全くなく、始めからギリギリの
状態が続いた。

今では宣伝しない店、看板の無い店で通っているが、始めは
その資金すらなかったのが事実。

そんなリスクだらけで、破滅的なのは分かっているのだが、
フレンチでなければならなかったのだ。

そこまでの覚悟で望んだカイユなのだが、本当の意味で
完成されたのは後半の一年だと思う。

完全一人体制になってからだ。




弟子を戻せば、簡単に済んでしまう問題でも、
そんな私情事で戻すわけにはいかない。

あの時は本当に無理だと思った。
どうシュミレーションしても一人では無理。
お客様にサービスしながら料理なんて出来ない。
仕込みだってまず無理。

だが、人間極限まで追い詰められると、本当の能力を
発揮するもんだと、今なら思える。

物理的にはあの状態には無理があったが、今では
少しながら余裕さえあったような気がする。

カイユはテストキッチン、始めは強がってよく口にしていたが、
後半は本当にそんな気がした。
勿論全て一切の妥協はしないし、もっている全ての実力を
注いで料理を作ってきたが、日に日に感性の変化を感じていた。

もっと、素晴らしい本物の美を感ずる事が出来れば、自分の
感性が綺麗に変わって行く。
いつも見ている絵や花、音楽もさらに奥が見えてきた。

才能というものがあるかどうかは分からない。
そもそも才能ってやつは、形になってしかもそれが
認められて才能っていうのではないか、

だったら才能なんて努力以外の何ものでもない様な気がする。

難しい事は分かんないけど、自分の中の感性が変わってきたのは
確信する。

抽象的だけど、もっともっと綺麗な美を追求したい。




先日、ある一流のアーティストと話していたとき、
シェフの料理は奇をてらう創作料理でもないし、
新しいヌーベルでもないし、かといって王道の古典でもない。

シェフの料理は新古典料理で奥にあるのは美とエロスだよ、
と言われた。

白いユリの花が好きでカイユでも僕が活けていたが、
ユリの花をよく見ていると、純白の花は清純で可憐だが、
奥を良く見ると、無数の棘がとても恐怖でありエロスで
ある。

なぜカイユを閉めたか、少しの間でいいから美について
一人で考えたかったのもひとつの理由。

次に店を出したら、今までに培った最高の生産者の
食材をフレンチの技法で、そして美を形にして感動を与えたい。

今年の冬には‥

| chef | シェフの日記 | 02:47 | - | - |
最後の日
最後の日

ホームページにたくさんのメールが連日届いている。
いきなり閉めてしまったので、びっくりしているようだ。
当たり前か・

なるべく返事を書くようにしているが、なんせ、
男ばっかりで‥返事は女性が優先なので‥

中には、僕が失踪とか、死んでしまうのでは!
なんてメールがあってびっくりしてしまう。

元気です。
ピンピンす!プーたろうを満喫しております!

まず朝起きたら、寝ます‥そんで市場に行って
何も買うものがないので、また寝ます。

起きてピアノ弾いて、寝ます。

たまに、マリオします、居酒屋行って焼き鳥食って
ビールのんで、チューハイ飲みます。

無職なのでシャンパンはオアズケです‥

健康のために散歩とかします。
100メートルくらいが限界です。

だから元気なので、心配なさらないで下さい。





本当は六月の真ん中辺りで店を閉めようと思っていた。

常連さんがひと回りしたら、きりのいいところで、と考えていたのだが。

店が小さいせいか、予約がぎっしりで、折角常連さんが来て
くれても、なかなか入れない‥そんなこんなでずるずる月末まで‥

店を閉める事を告知しなかったのは、最後の日にみんなが来てくれても
店には入りきらないし、次の予定も決まってないし、なんと言っても
悲しい別れなんてしたくなかったから‥‥

誰にも告知しなかった。

今考えるとその方がよっぽど辛かった‥

でも、俺らしいかな。

最後の日は金曜日。
入り口に貸切!という張り紙をした。

当然みんなその張り紙を見て帰っていくが、

今日貸切なの!と言ってくる常連さんがきたら
そうです、あなたの貸切です、と言って
食事してもらおうと思ったのだ。

そんなこんなで、最後の日にきた常連さんは
三人。

これまた凄い事に、みんな十年以上の付き合いになる常連。

しかも男‥

大学の教授と鉄鋼関係の専務。
しかも、この二人、むかーし私が居酒屋をやっていて
その店の最後の日も一緒だった!

あとはもちろんオキタさん‥

僕の飲食経歴を簡単に言うと、屋台から始まり、
ピストロ居酒屋、高級フレンチ、居酒屋
流れのコック、そしてカイユ。

この店全て付き合ってくださったツワモノの常連である。

偶然なのか必然なのか、教授に言わせると、虫の知らせ
らしい‥

全く、男にもてるぜ、おらっちは。


| chef | シェフの日記 | 02:41 | - | - |
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