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台湾で16年ぶり軍事パレード 巡航ミサイル公開見送る

2007年10月10日18時52分

 辛亥革命を記念する双十節(台湾の「建国記念日」に相当)の10日、台湾当局は台北市の総統府前で16年ぶりの軍事パレードを行った。陳水扁(チェン・ショイピエン)政権の国防政策の総決算として新型の艦対艦ミサイルなどを披露したが、中国本土を射程に入れる巡航ミサイルの公開は見送った。

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10日、台北の総統府前で行われた軍事パレードに参加した海軍特殊部隊の隊員=AP

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10日、台北の総統府前で行われた軍事パレードで、軍用トラックに載った対艦ミサイル「雄風3型」が公開された=AP

 台湾の軍事パレードは、国民党の李登輝政権が91年に実施して以来。F16型戦闘機やE―2T型空中哨戒機など従来の兵器に加え、自主開発した艦対艦ミサイル「雄風3型」や地対空ミサイル「天弓3型」を初めて一般に公開した。

 事前に注目を集めたのは、射程千キロに達し上海や香港なども攻撃可能とされる巡航ミサイル「雄風2E型」だったが、結局「デリケート過ぎる」(王金平・立法院長)として公開を見送った。

 元国防部副部長の林中斌・淡江大学教授は「中台両岸の均衡が崩れるのを嫌う米国は、台湾が雄風2E型をどう使うつもりか数年前から懸念していた。今回、米国から圧力がかかったのは間違いない」と分析する。

 陳政権は、04年に提出した米国からの兵器購入予算案が3年にわたって立法院(議会)で否決され続けた。軍事評論家の江畑謙介氏は「今回のパレードはかえって台湾の軍備の停滞感を印象づけた」とみる。

 陳総統は同日、訪台した日本の国会議員らに「防衛能力を高め、中国の軍事的な優勢を許さない」と強調した。しかし、今回のパレードは、国防への決意と中国への危機意識を訴えて「有権者の支持を取りつけようという内向けの思惑が強い」(林教授)との見方が大勢だ。

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