「7:1」「10:1」など、看護配置の状況を調査する項目が来年度の医療施設に関する調査で削除されることになりそうだ。厚生労働省は10月10日、社会保障審議会統計分科会(分科会長=廣松毅・東京大大学院教授)で、「平成20年医療施設静態調査の概要(案)」を公表し、大筋で了承された。予定されている調査項目は前回調査(2005年)から一部変更されており、2008年の診療報酬改定や今後の医療政策の方向性を示唆する内容になっている。 この調査は3年に1回実施しており、来年度の調査は08年10月1日時点におけるすべての医療施設を対象に実施。調査項目は診療科目、設備、職員数、許可病床数など多岐にわたっている。調査結果は今後の医療行政の基礎資料として活用するという。
調査項目の変更について、厚労省は「医療施設に関連する制度の新設・変更に対応した調査項目の追加、変更を行うとともに、記入者負担を考慮し、見直しを行う」と説明している。
■ 削除された項目
削除されたのは看護の実施状況のほか、施設の面積等、併設施設の状況、各種委員会の設置状況、夕食の状況、ホームページの開設状況――など。
「施設の面積等」「併設施設の状況」「夕食の状況」は02年調査と05年調査で大きな変化が見られなかったとの理由で削除された。各種委員会の設置状況もほぼ同様の理由で削除された。「ホームページの開設状況」は記入の負担を軽減するため削除した。
看護師の配置状況を調査する「看護の実施状況」を削除したことについて、厚労省は「記入者負担を考慮した」ことを理由に挙げている。
削除案に対して、中川俊男委員(日本医師会常任理事)は「看護師の配置状況はきわめて重要であり、削除はありえない。7対1は中医協でも議論されているし、これは理解できない」と不満を表した。
これに対して、厚労省の担当者は「調査項目は関連する局に問い合わせた上で作成した。保健局医療課から今後積極的に利用するとの回答がなかったので削除した」と回答した。
■ 新規の項目
新たに追加された項目は、@臨床研修医、A退院調整支援担当者、B健診・保健指導の実施状況、C禁煙外来の有無、D緩和ケアの状況――の5項目。
「臨床研修医」を追加した理由について、厚労省は「医師の地域偏在の理由として臨床研修医の問題が指摘されていることから、その在籍状況を把握する目的」としている。
「退院調整支援担当者」は在宅医療を推進するため、入院から在宅への円滑な移行を促す取り組み状況を把握するのが狙い。
■ その他の主な変更項目
その他の主な変更項目は、診療科目、救急医療体制、職員のための保育サービスの実施状況、医療安全体制、在宅医療サービスの実施状況、手術等の状況――など。
「診療科目」の調査項目は標榜診療科目の見直しが正式に確定していないため変更せず、科目別の医師数を男性医師と女性医師とに分けた。調査結果を医師不足の解消に役立てる目的があるという。
「救急医療体制」の項目では、「初期・二次・三次」の表記を「初期救急医療体制・入院を要する救急医療体制・救命救急センター」に改めた。また、夜間救急対応の可否について「外科」「産科」を追加し、整形外科、耳鼻いんこう科、眼科、循環器科、消化器外科を削除した。精神科は「精神科救急医療体制」として他の項目と分割して表記した。
「職員のための保育サービスの実施状況」は、女性医師の離職防止策を調べる観点から調査項目を詳細にした。
また、「医療安全体制」の項目は責任者の欄を医師、看護師、薬剤師などに分け、院内感染防止対策や医療機器安全管理、施設内回診の頻度などの調査項目を追加した。
このほか、「在宅医療サービスの実施状況」については項目を大幅に削り、「訪問診療」「訪問看護」「リハビリ」に絞った項目にしたほか、「在宅看取り」「救急搬送診療」などを新たに追加した。
また、「手術等の状況」は、がんの手術の状況を詳しく把握できるような項目に変更した。
更新:2007/10/10 キャリアブレイン
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