深刻な産科医不足に陥る県北地域で妊婦が安心して出産できる環境を整えようと、県は助産師が医師に代わって検診や相談に当たる「助産師外来」の開設に向け、助産師の技術向上のための研修を11月にも開始する。県北地域では、年間310件(06年)の分娩(ぶんべん)を扱ってきた登米市の佐沼病院が常勤医不在のため9月から分娩の取り扱いを休止するなど問題が深刻化している。助産師外来は当面分娩を扱わないが、県医療整備課は「将来的には分娩を扱えるよう条件整備を進めたい」としている。
研修は、産科医不足に対応するために助産師の活用を進める国の助成事業「助産師確保事業」の一環。助産師の活用が進まない一因として、お産の現場から長期間離れているための技術低下が指摘されており、研修はそのブランク解消が目的という。
県北地域では、佐沼病院のほか、栗原市の栗原中央病院でも04年8月から分娩の取り扱いを休止。両病院とも週2日程度、非常勤医が外来診療のみを行っている。そのため、登米や栗原地域の妊婦の多くは、大崎、石巻両市など遠方に通わざるを得なくなっている。佐沼病院については登米市が5月、助産師外来設置方針を表明している。
研修の対象は、佐沼病院や栗原中央病院などに勤務する助産師資格保有者で、現在助産師としてではなく看護師として働いている人。佐沼病院には14人、栗原中央病院には8人の助産師がいるが現在は看護師として働いているという。
研修は40日間の日程で座学が8日間、仙台などの病院で産科医の指導を受けながらの現場実習が32日間の予定。内診や超音波検査、胎児の心音の聴き方などを学ぶ。
県内では、白石市の公立刈田総合病院が05年10月に「院内助産院」を開設し、分娩も取り扱っている。【山寺香】
毎日新聞 2007年10月5日