1985年ごろから子どもの体力・運動能力の低下傾向が続く中、昨年度までの10年間は立ち幅跳びや持久走などで低下のペースが鈍化していることが7日、文部科学省の調査で分かった。今回初めて10年単位でデータを分析して判明した。

 文科省は「体育や部活動での指導法の改善などが要因と考えられる」としているが、分析を担当した順天堂大の内藤久士准教授(運動生理学)は「運動をしない生活習慣が定着している。下げ止まりとまでは言えないが、これ以上大きく落ちないところまできたのではないか」と指摘する。

 分析によると、9歳男子の立ち幅跳びの平均値は1987年度が160.41センチだったのに対し、96年度は149.31センチと約11センチ低下した。しかし次の10年間の97‐2006年度を比較すると149.60センチから146.61センチと約3センチの低下にとどまった。

 16歳女子の1000メートル走でも、87年度の290.24秒から96年度には306.17秒と約16秒遅くなった。これに対し、97‐06年度の比較では308.28秒から310.01秒と約2秒の落ち込みだった。

 このほか小学生のソフトボール投げや高校生の50メートル走などでも、同様に低下のペースが緩やかになったり、低い水準のまま推移したりするデータも示された。

 子どもの体力低下をめぐっては、学習指導要領の改定を進める中教審が、小学校で体育の授業時間を増やす方針を決定。高学年で設けている「体つくり運動」の領域を1年生から始めるなどして歯止めをかけようとしている。

=2007/10/08付 西日本新聞朝刊=