アタマジラミ激増中 無理解一因 耐性種も確認2007年10月09日 戦後にほぼ絶滅したとされながら、10年ほど前から増え始めた「アタマジラミ」に感染する子どもの被害が拡大している。戦後世代の若い親らがふけなどと勘違いし、適切に対処できていないことが一因とみられる。駆除薬に耐性を持つアタマジラミも国内で初めて確認され、「国立感染症研究所」(東京)はサンプルの収集に乗り出した。 「これが卵かな」。広島県世羅町の甲山小学校で今夏、児童の頭髪をかきわけた男性教諭がつぶやいた。髪の根本に1ミリ弱の白い粉のようなものが付着し、別の児童3人からも見つかった。 町教育委員会によると、5小中学校で7月末までに58人の児童、生徒がアタマジラミに感染し、駆除した。町教委は「前例のない大量感染で驚いた。何とか対応でき、ほっとしている」。 国内で唯一のシラミ駆除薬「スミスリン」シリーズを販売する「ダンヘルスケア」(大阪市)によると、アタマジラミは戦後、有機塩素系殺虫剤のDDTでほぼ全滅。71年以降に海外から持ち込まれて再び増えたが、スミスリンが発売された81年から減少に転じた。 しかし、96年ごろから同社のスミスリン出荷量が増加に転じ、06年には10年前の2倍に。同社は「年間感染者は小学校低学年を中心に約50万人」と予想する。感染拡大の理由に「アタマジラミを知らない世代の親が増え、子どもがかゆみを訴えてもふけが出ていると判断するケースもある」と指摘する。 大阪府によると、06年度に府内の小学校と幼稚園から寄せられた被害は1419件。02年度から4年で3倍に増えた。兵庫県管轄の保健所への相談は、02年度の16件から06年度には46件。東京都でも今年度の相談件数は昨年度の5割増だ。 急増を受け、国立感染症研究所は今年度からスミスリンへの耐性を調べるDNA解析に着手。これまでに感染者102人から採取した226匹のうち、4人の9匹に耐性が確認された。 冨田隆史・昆虫医科学部殺虫殺そ剤室長は「4%ほどの確認では急増の主原因とは言えないが、将来増える可能性はある」。9月からホームページでシラミのサンプル提供を求めている。 健康
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