外来化学療法の実施体制など評価へ

 中医協は8日の基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)で、がん対策を推進するための診療報酬上の評価の在り方をめぐり意見交換し、外来で放射線療法が受けられる体制を構築している医療機関を2008年4月の診療報酬改定で評価することなどで合意した。このほか外来化学療法を実施する医療機関による「必要な人材」の配置を評価し、質の向上を図ることも固まった。

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 この日、厚生労働省が提示した資料によれば、放射線治療を実施している医療機関は712施設で、このうち常勤の放射線治療医がいるのは274施設(38.5%)に過ぎない(日本臨床放射線腫瘍学会調べ)。また、日本国内のがん患者のうち放射線治療を実施している患者の割合は約25%で、米国(66%)やドイツ(60%)、英国(56%)に比べて少ない==。

 これらを受けて厚労省は、外来放射線療法の体制が十分に整っていないために「外来での治療が可能にもかかわらず選択できない患者が存在している」と指摘。また、疼痛緩和などで外来での治療を希望する患者が増加するとも見通し、外来放射線療法を実施できる体制を診療報酬で評価することを提案した。また外来化学療法に関しては、医師、看護師、薬剤師など必要な人材を配置する医療機関を評価し、質向上につなげる考えを示した。

 これらの方向に対する異論はなかったが、古橋美智子委員(日本看護協会副会長)は外来化学療法について、認定看護師を配置するなど医師のバックアップ体制を構築する医療機関を評価するよう求めた。これに対して土田会長は「資格のある人がいるから評価するのはどうか。非常に微妙な問題だ」と述べ、人員配置よりもむしろ患者への実際の対応を評価の基準にする必要性を強調した。

 厚労省はこのほか、医療用麻薬を投与しているがん患者への計画的・継続的な医学管理や指導を評価する方向も提示。また、がん診療連携拠点病院については、セカンドオピニオンを行う医師の紹介など「相談支援センター」としての役割を評価することも提案した。

 竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は、がん診療連携拠点病院の整備に地域間格差が生じている状況を指摘。整備を促進させるため、指定要件を当面、緩和することを提案した。これに対して土田会長は、「意見があったと受け止める」と述べるにとどめた。


更新:2007/10/09   キャリアブレイン

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