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多くのファンが阿部典史さんの事故現場に花を供えた
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7日に交通事故死したオートバイレーサーの阿部典史さん(享年32)の追悼イベントを、三重・鈴鹿サーキットが検討していることが8日、分かった。“ノリック”の愛称で親しまれた天才ライダーのあまりに早すぎる死。今年から13年ぶりに全日本ロードレース選手権に復帰し、21日決勝の最終戦で走るはずだった鈴鹿サーキットで、阿部さんはファン、関係者に見送られる。
鈴鹿サーキットのスタッフは阿部さんの突然の交通事故死に言葉を失った。全日本ロードレース選手権シリーズの最終戦(決勝21日)が行われる同サーキット。関係者は「出場を予定されていたのにとても残念です」と肩を落とした。
13年ぶりに全日本に復帰した今季、阿部さんは「日本のファンの前で限界以上の走りをしたい」と意欲を見せていた。5月の第3戦筑波で3位に入り、9月の第6戦岡山を終えてランキングは3位。最終戦でも攻撃的なライディングが期待されていた矢先の死だった。
阿部さんは鈴鹿への思い入れが強かった。94年日本GPでWGPの最高峰500CCクラスにスポット参戦し、世界選手権シリーズにデビュー。96年には史上2番目の20歳227日の若さで初優勝し、00年には3度目の優勝を果たした。
快挙となった3度の優勝のうち2度を鈴鹿で達成した。そんな思い出の地だけに、鈴鹿サーキット側は「決勝の21日に追悼の場を設けたい思いがある。多くのファンやライダーが集まるのでいい機会だと思う」と追悼イベント開催の検討に入ることを明かした。
サーキットでなく、公道で散った阿部さんには、02年に結婚した美智子夫人と、同年に誕生した愛娘がいる。天才ライダーの早すぎる死から一夜明けた8日の関東地方は冷たい雨に包まれた。
≪事故現場にはファンが続々≫阿部さんが交通事故に遭った川崎市内の現場付近には、午前中からファンが続々と訪れた。道路の隅に200本以上の花束が置かれ、中央には阿部さんがほほ笑んでいる写真。合計で1000人以上のファンが手を合わせ、天才ライダーの不慮の死を悼んだ。
東京都多摩市在住の松丸大紀さん(27=会社員)は「サーキット場ではなく公道で死ぬなんて…。ノリックは不本意だったと思う」と肩を落とした。埼玉県さいたま市から来たという主婦は「ノリック、今まで本当にありがとう」と目頭をハンカチで押さえた。
葬儀の場所は東京・青山斎場。ファンが多数押し寄せてくるのが予想されるため、広い同斎場が選ばれた。
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