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【法廷から】過激なAV撮影 女性の人格無視

10月6日11時56分配信 産経新聞


 強姦。この言葉を聞いて嫌な気分になる人は多いだろう。現実はその言葉以上に醜い。

 5日、強姦致傷罪に問われた栗山龍被告(43)の論告求刑公判が東京地裁で開かれた。

 論告によると、栗山被告は、アダルトビデオ制作会社の経営者として、平成15年12月〜翌年9月にかけて、4人のAV女優に対し、「軽いレイプものを撮るんでね」と、うそをつき、集団で暴行を加えるなどして撮影。4人に全治6〜2週間のけがや精神的な障害を負わせた。被告は、撮影したこれらのビデオをシリーズで販売、多額の利益を得ていた。

 論告で耳に入ってくる言葉の多くは、「女優は売春婦なんだから何してもいいんだよ」という被告の供述に裏付けられた、女性の人格を無視した行為の実態だった。1人の女優に対して20人から30人の男優が長時間にわたって暴行し続けたり、女性の手足を縛って身体の自由を奪った後、水中に何度も顔を沈めたり、大量の酒を無理やり口に流し込んだり…。女優が演技ではなく、本当に苦しみ嫌がる姿を映像にすることで、売り上げを伸ばしていた。

 撮影前の打ち合わせ内容とは異なる過激な撮影に、被害女性は「お願い、もうやめて」「ごめんなさい、家に帰りたい」と懇願したが、撮影は続行された。法廷で朗読された被害者の供述調書では、女性らは「本当に殺されるかと思った」「今でもお風呂につかることができない」とその恐怖を語った。

 この日、検察官は「被告は首謀者であるにもかかわらず反省の態度が見られないばかりか、経済的利益の追求や売名効果をももくろむという犯行動機は、自己中心的で身勝手。到底、酌量の余地はない」として、懲役20年を求刑した。が、被告は薄ら笑いを浮かべていた。検察官の言うように反省の態度は見られなかった。

 強姦致死傷罪は、約1年半後に迫った裁判員制度の対象事件になっている。女性の心までをも傷つけるこうした卑劣な犯罪に目を背けず、心してかかりたいものだ。次回弁論は10月22日。(西尾美穂子)

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最終更新:10月6日11時56分

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