【平壌8日共同】北朝鮮の被爆者団体「反核平和のための朝鮮被爆者協会」の李哲会長は八日、訪朝中の原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などの調査団(団長・向井高志原水禁副議長)と会見し、二〇〇二年末時点で生存者約九百人を含む約二千人としていた北朝鮮在住の被爆者の実態について、再調査を始めたことを明らかにした。
来年春までに結果がまとまる見通しだが、生存者の多くが既に亡くなったとみられるという。
李会長は「日本は韓国などの被爆者を支援する一方、わが国には国交がないことを理由に何も対策を講じていない」と日本の対応に不満を表明。「被爆者はどこにいても、日本政府の謝罪や人道的支援を受ける権利がある」と述べ、戦後補償の一環として謝罪や援護策を求める立場をあらためて表明した。
これに対し、調査団は、北朝鮮の被爆者対策に早急に取り組むよう日本政府に働き掛ける方針を伝えた。
朝鮮被爆者協会によると、被爆者健康手帳を所持し生存が確認された被爆者は、長崎で被爆した協会副会長の朴文淑さん(64)一人だけ。ほかの被爆者の手帳申請については「日本への渡航を条件にするなど手続きが煩雑で現実的ではない」と受け止めているという。
日本は〇一年三月、外務、厚生労働両省などによる政府調査団を北朝鮮に派遣し、実態調査を実施。援護策を検討する予定だったが、日朝関係の悪化などで対策は手付かずのままだ。
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