落語に「ちりとてちん」という演目がある。今月から始まったNHK朝の連続テレビ小説のタイトルにもなっている。ドラマはヒロインが大阪で落語家を目指すストーリーだが、三味線の「チントンシャン」にも似た語呂が軽快で、朝らしいさわやかさだ。
しかし、落語の中身はまったく違う。腐った豆腐を「ちりとてちん」という珍味と偽って、偏屈な男に食べさせる長屋話だ。この秋、笑福亭鶴瓶さんが挑む古典落語の名作「らくだ」も題目のイメージとは異なる。動物のラクダの話かと思いきや、長屋に住む嫌われ者のあだ名のことだ。
「らくだ」は上方落語の四天王の一人で、鶴瓶さんの師匠の六代目笑福亭松鶴(故人)の十八番だった。六日の福岡公演を皮切りに、全国八都市で計二十一公演を行う。
近隣では香川県琴平町の金丸座であるが、十一月末の最後の大阪公演までチケットは既に完売という。テレビやラジオで人気の鶴瓶さんだが、その意気込みが関心を呼ぶ。
このところ上方落語が元気だ。きっかけは昨年九月、大阪で約六十年ぶりの常設の寄席「天満天神繁昌亭」が開業、拠点ができたことが大きい。来年十月には桂小米朝さんが五代目桂米団治を襲名する。半世紀ぶりの大名跡の復活だ。
東京から始まった落語ブームが、関西でも沸き上がってきた。大阪弁の独特のぬくもりも魅力に違いない。