政府・与党はインド洋での海上自衛隊による給油活動を継続させるため、十一月一日に期限切れを迎えるテロ対策特別措置法に代わる新法案の骨子をまとめ、野党側に示した。今月中旬にも国会に提出したい意向だ。
海自の給油活動は、二〇〇一年九月の米中枢同時テロを受けて成立したテロ特措法に基づき、同十二月から実施している。先の参院選で与党が大敗し、参院で過半数を占める野党が延長に反対していることから新法によって空白期間をなくしようという狙いである。
骨子によると、活動内容は現行法から捜索救助などを除いて給油・給水に限定し、活動範囲を明記する。十一月二日から二年間の時限立法とし、一年後に活動内容の国会報告を義務付ける。テロ特措法に定めた国会承認規定を削除する。第一条の「目的」に活動への謝意を示した国連安全保障理事会決議一七七六を盛り込むなどとしている。
政府・与党は海自の給油活動について「国際公約であり、国際的に高く評価されている」として、早期成立のため野党側に法案提出前の政策協議を申し入れた。これに対し、民主党の小沢一郎代表が「憲法解釈で禁じられている集団的自衛権の行使に当たる」とするなど野党側は拒否し、対決姿勢を強めている。
テロ対策への日本の貢献は必要としても、骨子を見る限り懸念される点がある。最たるものが国会承認規定の削除だ。政府・与党は活動内容を給油・給水に絞り込んでおり、法の成立が承認の意味を持つとの主張のようだ。
しかし、文民統制(シビリアンコントロール)の面からも国会の関与を薄めることには納得がいかない。海自が補給した燃料が米艦船によるイラク戦争に転用されたとの疑惑もある。いくら活動を絞り込んでも厳密なチェックは欠かせない。
これまで政府・与党は野党の反対にもかかわらず、テロ特措法の延長をなし崩し的に行ってきた。今回、野党に法案提出前の政策協議を申し入れたことは異例ともいえる。参院選での大敗に立ってのことだが、数を得ると元に戻るかもしれない。真摯(しんし)に国会と向き合ってこなかったことを真に反省しているなら、国会承認は担保すべきだ。
インド洋での海自の活動や成果の実態が、あまりにも明らかにされてこなかった。今国会は、日本としてテロ対策にどう向き合うべきかの原点に立ち返り、検証し議論を深める時だ。政府の積極的な情報開示が前提となることは当然である。
居住地に納める個人住民税の一部を他の自治体に回せる「ふるさと納税」構想の具体化を検討していた総務省の有識者研究会は、制度の概要案をまとめた報告書を増田寛也総務相に提出した。二〇〇八年度の制度創設を目指す。
ふるさと納税構想は、地域活性化や大都市と地方の税収格差の是正などを目的に、今年五月、菅義偉前総務相が提唱したものである。
報告書では、他の自治体に寄付した場合に居住地の住民税の一部を減額する寄付金の「税額控除」方式の導入を提言している。当初は直接納税方式を考えたが、「受益者負担の原則」に反するとの批判を受け寄付金の形とした。
このほか、寄付の対象は出身地などに限定せず、すべての都道府県と市区町村から選択できる。控除対象は五千円を超える部分で住民税課税額の一割を上限とすることなどを盛り込んでいる。
生まれ育った故郷への恩返しや、地域の個性とか自然、頑張りなどに共感して支援したいという人々の気持ちは尊いものであり、大切にしなければならない。地域間の魅力づくり競争による活性化を期待する声もある。
しかし、大都市の反発などで上限が住民税課税額の一割に抑えられたほか、寄付がどれだけ集まるかも不透明だ。格差是正への効果は極めて限定的であり、中核的な制度とはなり得ない。
格差の大きな要因となっている地方法人二税(法人事業税、法人住民税)の課税・配分見直しなど、より抜本的な制度の検討が必要だ。同時に、自治体間の税収の再配分だけでなく、国から地方への税財源移譲を進め、自治体が独自の活性化策を展開できる地方分権の確立も急がれる。
(2007年10月8日掲載)