産科医不足対策 宮城県、集約化方針を決定
産科医不足対策として国が方針を打ち出した拠点病院への医師の集約化について、宮城県は7日までに、「集約化が必要」との方針を決めた。栗原、登米市など県北地域の産科医不足が深刻化しているためで、妊婦健診と分娩(ぶんべん)を開業医と拠点病院で機能分担する「セミオープンシステム」の導入や助産師外来の設置といった体制整備に着手する。
「集約化」は分散している医師を1カ所に集めたり、新たな医師の配置を集中させたりすることで拠点病院を強化し、医師の負担軽減や診療の高度化を図る。
県は集約化で産科医不足に対応する。とりわけ県北地域では、栗原市の産科・産婦人科の常勤医はわずか1人。登米市と気仙沼市はともに3人にとどまっている。仙台市の87人に比べ、地域偏在が進んでいる。
県北の産科医療については、複数の産科医がいる大崎市民病院に医師を集約し、妊婦健診と分娩を行う「連携強化病院」に指定する計画。栗原中央病院(栗原市)と佐沼病院(登米市)は健診だけを担当する。
大崎市民病院から週1回、栗原中央、佐沼の両病院に医師を派遣するほか、両病院に助産師外来を設ける方針。外来設置に向け、本年度は助産師対象の研修を実施する。
集約化については、厚生労働省が都道府県に対し、来年3月末までに実施の適否を決めるよう、都道府県に求めていた。
県は集約化に伴い、医師の空白地域が拡大することを懸念。ことし3月、「さらに詳細な調査が必要」として判断を先送りしていた。
県医療整備課は「産科医の地域偏在が深刻で、医師一人当たりの負担も増えている。医師が複数いなければ、24時間体制も敷けず、リスクの大きい分娩に対し、高度な医療を提供できなくなる恐れも出てくる」と説明している。