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リタリン:偽造処方せん横行 都内で昨春以降18件

 処方せんを偽造して調剤薬局で向精神薬リタリンの不正入手を図る事件が東京都内で相次ぎ、昨年4月以降で18件に上ることが都薬剤師会の調査で分かった。今月初めには、リタリンの処方を巡り都などの立ち入り検査を受けた東京クリニック(新宿区)の処方せんをコピーし、薬をだまし取ろうとした女性が逮捕される事件も起きている。厚生労働省や同会は9月、不審な処方せんを見つけた場合、医療機関への問い合わせを徹底するよう各薬局に通知した。【精神医療取材班】

 同会によると、処方せんの偽造は5年ほど前から出始め、ここ数年で急増。今年4月~今月1日、偽造された処方せんが使用されたケースは10件で、このうち7件はリタリンの入手が目的だった。昨年度は20件の偽造が確認されており、うち11件がリタリン目的だった。医療機関から受け取った正規の処方せんをカラーコピーしたり、薬の処方量を書き換える手口が目立っている。

 警視庁などによると、渋谷区の調剤薬局で今月1日、区内の女(24)が東京クリニックの処方せんを提示した。リタリンなど6種類の薬剤名と処方量が記載されていたが、薬の量が多いのを薬剤師が不審に思い、同クリニックに問い合わせたところ、女は6月末から通院していないことが判明、有印私文書偽造・同行使容疑などで現行犯逮捕された。女は「薬をもらいに行くのが面倒なので処方せんをコンビニエンスストアでコピーした」と供述しているという。

 また9月13日には、板橋区の調剤薬局を訪れた別の女が、コピーした同クリニックの処方せんを提示し、リタリンなど5種類の薬を不正に入手。その後、区内の別の調剤薬局で同じ偽造処方せんを提示して不正が発覚、女はそのまま逃走した。

 いずれの偽造処方せんもカラーコピーだった。

 厚労省と製造・販売元のノバルティスファーマ(港区)は、リタリンの乱用防止のため適応症からうつ病を外し、処方できる医師を登録制にして流通面も厳しく管理する方針だ。この措置で偽造処方せんがさらに増えるとみて、薬局などは警戒を強めている。

 都薬剤師会は「極めて精巧で専門家でも偽物と見破るのは難しい。リタリンが処方されていたり、薬の量が異常に多いなど不審な点がないかを確認し、医師に問い合わせて(偽造かどうか)判断するしかない」と話している。また、医療関係者は「リタリンの適応症見直しや流通管理の厳格化で、処方を取りやめる医療機関が相次げば、逆に不正入手目的の偽造処方せんが出回るケースが増えるのでは」と危惧(きぐ)している。

毎日新聞 2007年10月8日 3時00分

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